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マツダが満を持して発表した革新的ガソリンエンジン_スカイアクティブG(Gはガソリンの意。別にスカイアクティブDと呼ばれるディーゼルエンジンも用意される)。
その搭載第一号となる新型デミオ・13Cスカイアクティブに試乗した。
車両的にはマイナーチェンジなので、外観上は大きな変更なし。見慣れたデミオのそれである。
ところでこのエンジン、何が革新的なのか。
その核心はこれまでのガソリンエンジンの常識を越えた高い圧縮比にある。
14:1というスカイアクティブGの圧縮比は、従来高圧縮比とされた11~12:1前後に比べて圧倒的に高い。
んでもってそれは、即ち燃焼効率の向上につながり、常識外れの低燃費につながるという寸法だ。
それが分かっていながら今まで実現できなかったのはもちろんワケがある。
高圧縮比には代償がつきまとうのだ。それがノッキングの発生とトルク低下だ。
マツダはさまざまな手法を複合的に注ぎこみながらそのネガを回避。実は14:1という圧縮比そのものがその一要素なのだが、詳しくは同社のホームページでもご覧いただくことにしよう。
ともあれマツダは、従来型のガソリンエンジンと同等の性能を発揮しながら、ハイブリッド車に迫る燃費を実現した!というのだが……。
期待と不安を胸に試乗した新型デミオ・13Cスカイアクティブは、結論から言うと僕の琴線に響くクルマではなかった。
現状これはやはり「エコカー」なのだ。その限りにおいて、マツダのコメントに偽りはない(燃費を実測したワケじゃないけど)けれど、もう一つの主張である「走る喜びとの両立」は、残念ながら果たせていないと思わざるを得ない。そしてその主因は、やはりこの新エンジンの仕上がりだ。
一口に言って、懸念されていたトルクの細さがハッキリと感じられるというのが第一印象。そのためか、CVTは一昔前のそれのように、せわしない回転上昇を許容しつつトルクを絞り出し、それを車速上昇が追いかけるというフィーリングが「エコのためなら忍耐・辛抱」というメッセージをドライバーに感じさせてしまうのだ。それがCVTだけのせいでないことは、同時に試乗した1.5リッターのCVT車がまったく今日的なCVTのフィールを持っていたことからも明らかだろう。
試乗会に足を運んでいたマツダ本社のエンジニアからも「今回はあえて燃費重視に振っている部分もあります」というコメントがあり、マツダの苦悩が伺える。革新の新エンジン搭載1号車としてカタログ数値にこだわるなというのは無理な話だが、よしんばハイブリッドにわずかな数値のリードを許したとて、マツダが失ってはならなかった部分もあったんじゃないだろうか。
年内には登場すると噂されるスカイアクティブ搭載車の二作目となる次期アクセラは、果たして排気量アップによって、こうしたネガを潰せるか否か。ここは見守っていきたいと思う。
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アルミ製とおぼしきエンジンマウントはクラスを超えたシズル感(笑)をかもし出す。
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進化したi-stop(マツダのアイドリングストップ機構)はさすがの完成度。非ハイブリッド車としては出色の出来で、クランキングを感じられないほど速やかに再始動する。従来はツインバッテリーだったものが、今回はメインを大容量化した上で1バッテリーに改められた。
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実は我が家の買い替え候補がこのデミオなので、
興味深く読ませて頂きました。
トルクで有利な1.5Lがスカイアクティブだったなら、
評価はかなり違ったものになっていたでしょうね。
ところでi-stop車のバッテリー、交換時期が来るのが恐ろしいコストだったりして。
「トルクで有利な1.5L」……うーん。
というか、現状、スカイアクティブという技術そのものがトルク特性を悪化させていると思うんですね。特にカタログ値としての燃費を上げるセッティングだとそうなってしまうのだろうと踏んでいます。仮想敵であろうフィット・ハイブリッドの30km/lという数字に縛られず、27~28km/lで妥協できていたら、もう少し特性を詰められたんじゃないのかなぁと臆測した次第です。
なので1.5であれば1.3よりマシなのは確かでしょうが、1.5に期待される走りが得られるかというと、それはやっぱり?なわけです。
先般乗ったフィアット500ツインエアでは、実用燃費の高さと走りの力感がうまくバランスしていました。今のところ、エコと走りの両立という面で、ダウンサイジングしたエンジンと過給器の組み合わせ(これは最近のVWもそうですね)の方が、残念ながら先に成果を挙げている気がします。
バッテリーについては仰る通りですね~。でも本文にも書きましたがマツダのi-Stop、出来は凄くよかったですよ(^^)
気になる存在です。
驚くべき圧縮比ですね!
走る楽しさは・・・だったのですか。
これからに期待ですね。
どの車に搭載するのか、燃費がどれくらいになるのか?興味津々。