ヴィクトール・E・フランクル著。
第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験を持つ精神科医。客観的な視点で淡々と収容所の中の出来事や被収容者の姿を記録している。
ずっと前に100分de名著でも取り上げられていて気になっていて、その後、読書アプリで感想を書いている方がいたことで、いよいよ読むことに。けっこう覚悟がいった…というのも、小学生の頃に、母親が買ってくれたアンネの日記を読んだのだけど、自分と同年代の少女に起きたこととは信じられず、夜も眠れないくらい衝撃を受けたことを思い出したから。
でもこれは確かにずっと読み継がれるべき一冊。
強制収容所というこれ以上ないくらいの極限状態の中、もはや失うものは何もないという身も心もボロボロな中で、生きる意味や人間とは何かを考える。非常に哲学的。起こった出来事を書くだけではなく、人生とは何なのかを見出そうとする姿勢に驚かされる。収容所に入り、長い間を過ごして奇跡的に出所する過程までの、精神的・心理的状態を冷静に客観的に捉え、語っていることが凄い。
苦しみや死さえも「生きる」ということに他ならないのだ。
生きる目的、生きる希望をどうやって見出していけるのかが大事なのだ。
どんなに辛くても自分の運命に向き合い、一瞬一瞬を大切にすること。
考えさせられるっていう言葉を安易に使うべきではないなぁと思うんだけど、でも言っちゃう。考えさせられる本でした。