カズオ・イシグロさんの本を読むのは3冊目。
ストーリー
子供の成長を手助けするAF(人工親友)という人工知能搭載のロボットのクララは、ジョジーという病弱な少女の家庭で暮らすことになる。やがて二人は友情を育んでゆくが、一家には大きな秘密があった……愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作。ノーベル文学賞受賞第一作。(早川書房オンライン クララとお日さま)
そんなに詳しいわけではないので言うのもどうかと思うけど、こちらもとてもカズオ・イシグロさんらしい本。ぐわぁーっと盛り上がるような作品を好む方には向かないのかもしれません。
AF(人工親友)として造られた自分の使命を理解し、学び、最善を尽くそうとするクララが健気で真っ直ぐで愛おしいんです。だからこそ、その先に待つものがあまりにも残酷で切ないね…。
はたしてクララは幸せなのか…?私達に問いかけられている気がします。
クララがお日さまに熱心に祈るシーンや、マシーンを破壊しようと本気で思っている姿には胸が締め付けられるようでした。
具体的にどういうものかは説明されていませんが、「向上処置」というもの(遺伝子操作か何かかな?)を受けた人間と受けていない人間というのがあるらしく、両者間の格差、そして人間とAFとの格差など、実際の社会問題に通ずるものがあります。
文庫でもけっこう厚い本なので、実際に読み終わるまで時間がかかっちゃいましたけど、そうじゃなくても、ゆっくりと噛みしめながら読みたい本。こういうストーリーを書けるって凄いなぁ。また気が向いたら?カズオ・イシグロさんの他の本も読んでいきたいと思います。