万太郎が地名を詠みこむと粋な感じがするのはなぜでしょう。
「秋の暮汐にぎやかにあぐるなり」
これは柳橋を詠んだもの。
柳橋は神田川と隅田川の合流する辺りなので
二川合流の壮大さもあると思う。
「神田川祭りの中をながれけり」
言わずもがなな句。
「東京の月なる清洲橋の月」
北海道への旅から帰り久しぶりの帰郷で詠んだ句。
清洲橋という地名がすでに美しい。
「短夜(みじかよ)のあけゆく水の匂かな」
短夜は夏の季語。
きぬぎぬの別れ、的な情緒含みの語らしい。
ちょっといやらしいですねー。「水」の語をもってきてる
ところもなんだかじっとりしてます。
そしていまの季節。
「春の灯のむしろくらきをよろこべる」
春宵に花の香りを愉しむ時はもうすぐそこです。