千葉市美術館で開かれている
田中一村の美術展に行ってきました。
今回の美術展は美術館所蔵の一
村作品すべてを蔵出ししているそうです。
一村の出発点となった10代の南
画から色紙、写真、扇子絵や茶
托などまであり、興味深い展覧
会です。
白眉は「アダンの海辺」。
縦長の画面の上から下までを貫いて射す南国の光が美しい。
やっぱり来てよかったと思える展覧会。
作品を公表する機会もなく無名のまま亡くなった一村。
南画を選択したことで、時代からは取り残される運命だった一村。
50代で家財を整理し奄美に移住したけれど、そのあとすぐ千葉に戻っていたのは
知らなかった。
どんな気持ちだったんだろうか。
おそらく千葉に帰って描くことはあっても違和感で
いっぱいだったのではないだろうか。
そして再びの奄美行きの覚悟たるや。
ともすれば無名のまま終わった画家という捉えられ方
をする一村ですが、晩年の一村は自分の作品に満足していた
とのこと。
それで十分ではないでしょうか。