路地裏の歩き方

散歩ライター、増田剛己が散歩の裏技などを紹介。路地裏のちょっと怪しいところをのぞいてみましょう。

欧風カレー「ペルソナ」

2008年08月29日 | Weblog
きょうこそ、この前書いた「神保町カレー散歩」の追加写真を撮りに行こう。
きょうは、欧風カレー「ペルソナ」にしよう。
ここのカレーは高いから、歩いていこう。
これまでの神保町散歩は行きは電車、帰りは歩きだったのだが、
今回は行きも帰りも歩き。
富久町から神保町までけっこうあると思われるかもしれないが、約4キロ。さほどの距離ではない。
我が家から曙橋駅まではすぐだし、曙橋駅から靖国通りを行けば道が左にカーブしている。そのカーブしているあたりが防衛省の表門。ここを過ぎると市ヶ谷駅は見えてくる。外堀通りと合流するあたりから市ヶ谷橋を渡ればJR市ヶ谷駅。
市ヶ谷駅からは靖国通り。靖国神社方向の坂をあがると九段上で、その坂を下れば九段下。九段下から神保町はすぐである。
防衛省の手前で以前住んでいたマンションと同じ階だった奥さんとすれ違う。
「まあ、ずいぶんとおやせになって」と言う。4年ぶりくらいか。
散歩をしているといろいろな人に会う。
フィットネスジムが見える。中では、ウォーキングマシーンで歩いている人がいる。
思うのだが、ああゆう人たちはなぜ金を払ってああゆうマシーンの上を歩くのか不思議な気持ちになる。まあ、自分も一時期はそうだったのだが。
というわけで、ペルソナに到着したのは12時20分。満席だ。
少し表で待つ。ほどなく、中へ。後ろに並んでいた若い男性サラリーマンと相席。
ミックスダブルカレー1300円にする。ふたつのカレーが選べるのだが、ビーフとナスにしてみる。前の男性はビーフの大盛。
まずは、ジャガイモが出てくる。ボンディなんかと同じである。
ほどなく、カレーとライス。カレーはアラジンのランプのような器に入ってくる。
あ、ネットで調べたらソースボートというらしい。
ライスには少しチーズがかかっている。
で、カレーは粘土の高い、コクのあるカレーである。
20代の頃、間違いなくこういうカレーが好きだったが、さすがに今はきつい。
ビーフは柔らかいがかといってバラバラになるほどではなく、しっかりと噛み応えあり。うまい。が、さすがにヘビー。
帰りは、靖国神社から外堀通りへ。「くるり」は相変わらずの行列。9人が並んでいた。
このあたりで雨がポツポツ降り始める。市ヶ谷から都営新宿線に乗ってもよかったが、1駅というのも悔しいので歩く。曙橋駅あたりまできたころにはものすごい雨になっていた。そして、我が家に帰宅する寸前に雨は止んだ。くーっ。

山口の田園地帯を歩く

2008年08月18日 | Weblog
帰省中、実家のある山口県防府市を歩いた。

桑の山中学校の前を通り過ぎ、
桑の山八幡まで歩き、田園地帯を散歩した。
住所でいえば仁井令から石が口あたり。
このあたりは古い農家と田んぼが広がっている。
青々とした稲と水田のニオイが懐かしい。

帰宅し、お昼を食べて、防府駅へ。Dscn6455
新山口駅までの切符を買い、ホームへの階段をのぼるとき、下りの電車がきたが、まあ次でいいやと思ってホームへ行くと、なんと次の電車は一時間後だ。しまった、東京と同じつもりでいたら、とんでもないことだった。
改札を出て、しばらく散歩することにした。
駅前の書店を巡ろうかと思ったが、すでになにもなくなっていた。
踏切の先にあった、昔アラーキーの写真集を立ち読みした松谷書店も今はない。鉄道が高架になって、踏切さえなくなっている。
藤井書店も防府書房もない。せいぶん堂(どういう字か忘れてしまった)はずいぶん前からなくなっていたが…。唯一「福島書店」は看板が掲げてあったが、これもお盆でお休みか。中学校、高校生のときに毎日通った書店はすでにほとんどがなくなっていた。
仕方なく、サティの中にある書店へ。山田風太郎を捜すもほとんどなし。
一時間近く歩いて、再び防府駅。
新山口の通路に氷柱があった。珍しいのでカメラを向ける。たぶんもっと長かったのだろう氷の柱が短くなっている。自分の人生のような気がした。もう残りがわずかしかない。
その後、新幹線にて帰京。車中、山田風太郎の「戦中派不戦日記」を読了。

疾走する記憶たち

2008年08月14日 | Weblog
このところ、お金がないので、本はたいてい図書館で借りる。
最近は便利になって、本の検索なども家からインターネットでできる。
そのため新宿区になかったり、貸し出し中だったりすると、近隣の区の図書館も検索する。というわけで、先日も
千代田図書館に行って本を借りた。
で、帰ろうとすると後ろから
「まっさん」
と呼ぶ声が聞こえた。僕のことを〝まっさん〟と呼ぶ人は数少ない。
東京に出てきて数年後、僕が下関マグロになる間に知り合った人だ。
たとえば北尾トロがそうだが、声の主は北尾トロではない。
ふり返ったら、すぐにわかった。Sである。
何十年ぶりだろうか。Sはもともと3人ほどで小さな編集プロダクションをやっていた。それは知り合った頃というか、よく逢っていたころの話で、 20代から 30代のはじめ頃である。その後、風のたよりに彼の会社は50人だとか100人の社員を抱える大きな会社になっているということを聞いた。
久しぶりに会ったSは、相変わらずオシャレで、高そうなワイシャツをきちんと着ている。さすがに羽振りがいいんだなと思ったが、
今は社長業はしていないと言う。
倒産したかどうかわからないが、彼は苦笑いをしながら、
「いい夢を見させてもらったよ」
と言う。なんでもそれだけ大きな会社になったのはほんの一瞬で、
最後の2年間は資金繰りで大変だったそうだ。
それで今は小さな出版社で編集の仕事をやっていると言った。
しかし、時間というのはあっというまに経過するわけだが、
こうして昔の知り合いと会っていると、20代のころのことがよみがえる。
図書館でしばし立ち話をして別れた。

そのあと神保町まで歩き、
これまた久しぶりに「ボーイズカレー」を訪れた。
オールアバウトの記事のためだ。
こちらも二十数年ぶりだろうか。
「昔ね、よく来てたんですよ」
と、昔はボーイズだったろうお店の人に話しかけた。
しかし、昔のことはよく覚えていないなぁ。
よくきたのはたしかだが、何カレーを食べていたんだっけ。
とりあえず、チキンカレーにする。
ご飯の量が多いので減らしてもらった。
20代のころは必ず大盛を食べていたんだけどなぁ。
と、カレーを一口食べたら、わぁーーーと自分の中で、
ああ、この味だと、この店のことが少しよみがえってきた。
なんだか泣きそうになる。
近くの芳賀書店でビニ本を買って、ここに駆け込み、
急いでカレーを食べ、水道橋まで歩いた記憶がよみがえってきた。
早く家に帰ってビニ本が見たいから、あせって食べたあの記憶が、
鮮明によみがえってきたのだ。
ああゆう記憶っていうのはなんなんだろうか。
一瞬にして、あの頃に引き戻してくれる。