maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

11-家族の一員-U.S.A.1964-No.11-再録

2022-04-15 17:40:46 | 虚々実々-U.S.A.-1964

お仕事をもらった!

高校からの帰り道に、郵便局に寄ってもらってエアログラム(簡易航空書簡)を買いました。
11¢(40円弱)、初めて$での買物。
小さな郵便局で、窓口には格子見たいな物が有ります。
格子の向うにいたオバちゃんに「ファイブ・エアログラムズ」「フィフティファイヴ」。帰ってきたおつりの計算がおかしい、5¢足りません。
「40¢しかないけど、間違ってませんか?」 「タックス!」
エ~?税金?何やねんそれは?
コラリアを振り返ると「それで合ってるのよ」、何処が合ってるんでしょう?
「100-55=45で5¢が税金?買い物するたびに税金が掛かるの?」
「州の税金よ」
ふ~ん、何か損したみたいです。
窓口のオバちゃんが、
「チノ?(中国人?)」
「ノォ!ジャパニーズ!」
「Oh!」といってニッコリしてくれました。
アメリカの人は笑顔が素晴らしいですね、鏡を見て笑顔の練習をしているのかと思うくらい。
パッカンと開いたような笑顔は中々真似できません。
それはさて置き、英語で買い物が出来た!
無事に着いたことを日本に知らせないと....。

家に帰って、しばらくすると、表でキィ~キィ~ときしんだような音。
コラリアが「ロジャーが帰ってきた!」
おや?パパとかダディって呼ばないんですねぇ?
「I'm home!」とロジャーが入ってきました。
そそくさとキッチンへいったかと思うと、カクテル・グラスを二つ、赤い10センチくらいの太さで、30センチほどの長さの、ソーセージの化け物のような物と、ナイフを持って出てきました。
グラスには軍隊毛布のような色の小梅みたいなのと、多分お酒が入ってます。
ホイと差し出されたグラスを思わず受け取って匂いを嗅ぐと、紛れも無く酒の匂い。
「酒はご勘弁」というのは?と頭の中で英作文を試みていると、ソーセージの化け物を1センチくらいの厚さに切って渡してくれました。
あれ?これはチーズみたい。
このチーズは凄く美味しい、お酒の中に沈んでいる実はオリーブだそうです。
引っ張り揚げて食べて見ると、酸っぱいような、塩辛いような、ご飯のおかずになりそう。
やっとの思いで「ありがとうございますが、お酒はちょっとご勘弁」と言うと、意外そうな顔をしてグラスを受け取ったかと思うと、無造作にポイと呑んでくれました。
美味しいから食べてしまったものの、チーズはお腹に結構こたえます。
グラスを片付けたロジャーが手招きをするので行くと、台所からガレージに入りました。
入ったところに、箪笥のような冷蔵庫が、と思ったら冷凍庫「この中のものは好きに食べて良いよ」と教えてくれました。
隣には大型の洗濯機。
付いて来たコラリアが「彼の名前はソックス・イーターよ」とウインクしながら教えてくれました。
パラセーター(攪拌羽根)に必ずソックスが挟まって食い込むのだそうです。
「洗濯は自分でするように、洗剤はここのを使いなさい」
洗濯機の傍らに金属製のバケツの親分のようなのが2つ並んでいます。
これがゴミ箱、居候している間は月曜日と木曜日の夜に道端へ出す役割を仰せ付かりました。
ゴミの収集は深夜から早朝にするのだそうです。
ガレージの片側の壁は棚で面白そうな物が一杯並んでいます。
作業台もあって、色々な工具が揃っています、一寸した工作室。
奥の扉を開けると裏庭で、物干しも有ります。
小物用のスタンドとロープを張って洗濯物を干すんですね。
物干し竿は使わないみたいです。
裏の家との間は、小さな土手みたいになっていて、何とその土手に細い電柱が!
町並みが異様にスッキリしていて、空が広々しているのは何故かなぁ?と思ってよく見ると電柱が無かったんです。
これで、道に電柱が見当たらない理由が判明しました。
お隣との境は簡単な低い木の柵、ところが扉がついていないんです。
裏庭伝いにお隣へは行けないようです。
柵といってもチャチな物ですから、その気になれば簡単に乗り越えられるし、ちょっと蹴飛ばせば崩壊しそうです。
柵を壊さなくても、土手の上には何も仕切りが無いので、簡単に行けるのですが、直接裏庭に入らないのが礼儀らしいですね。
お隣を見るとリサが友達と遊んでいたので「ハ~イ!リサ~!」と手を振ると、ニコッと笑って「*&%#%$」。
彼女と会話するには、まだまだ修行が足りないようです。
ゴミバケツ出しだけでも、何かの役割を果たせるというのは、家族の一人と扱ってもらえたと嬉しくなります。
明日からは何か他に手伝える事を見つけるようにしよう!

エフィを迎えに行くのに付き合ってブレントウッドまで短いドライブ。
14:00から18:00のショート・タイム・ジョブだそうです。
チョット早かったので売り場を見物。
食べ物が驚くほど安い気がします。
驚いたのは、肉は塊、カシワ、7面鳥は丸ごと、ハム。ソーセージの類も薄切りのは有りません。
日本のよりも2廻りくらい小さな林檎、桃が積んで有ります。
逆にスイカはデカイ!まん丸ではなくて横長の巨大なスイカ!
日本では高級果物のグレープフルーツが小山のように積んで有ります。
林檎よりも安いんですねぇ。
コーンフレークとおぼしき物が並んでいる棚へ行くと、その種類の多い事。
ヤヤ、小さな紙パックに入ったコメがあるぞ!
こんなチョボットのお米どないするねん?
夢中でウロウロしているとエフィが呼びに来ました。
さっきから何度も「ロ~ン!」と呼んでいたそうです。
そんな名前になった事は綺麗サッパリ忘れていました。

車の中でエフィが、今日はギリシャ料理を作ると教えてくれました。
何やらゴジャゴジャッと言ったのは多分料理の名前なんでしょうが、全く聞き取れず。
仮に聞き取れたとしても、ギリシャ語でしょうから、どんな物か見当がつく筈もないんです。
ロジャーが喜んでいる様子なので、きっと美味しいのでしょう。
家に着くと、コラリアがキッチンでかいがいしく料理の準備をしています。
私の方を向いて「ギリシャ料理よ!」と口をへの字にした複雑な表情。
映画などでは、あれは嫌な時の表情みたいですが、どういう意味なんでしょねぇ?

ギリシャ料理初体験の感想は次回で、

2003/03/10:初出
2022/04/15:再録

U.S.A.64-12
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