やや矢野屋の棚上げ棚卸し

アニメの感想と二次創作小説・イラスト掲載のブログ
「宇宙戦艦ヤマト」がメイン 他に「マイマイ新子と千年の魔法」など

「宇宙戦艦ヤマト2l99」感想の続き

2012年04月17日 18時17分00秒 | ヤマト2l99
さて、これは大勢の人が既に指摘していると思うのですが、2l99は「旧作の穴を塞ぐ」と言いつつまたゴーカイな穴を空けてくれてます(;^ω^)
「結局重力制御してるのしてないのどっちなの!ボーシ脱げるの気にする割に急速転舵しても艦橋回っても平気なのそうなの!」とか、「ちょーっと待って今土方さんが良いこと言ったから静かにして!『ワシの命を奪うかもしれん』なんて言うけどさ、そんなこと言ったら前人未踏の旅に出る乗組員に対して無責任じゃないかなぁ?結局ヤマトが戻ってこれなくなるだけなんじゃないかなぁ?僕の言ってること違うかな?沖田さん!」とか、「今この人コネ人事だって言ったよハッキリ言った!そこんとこどうなの沖田さん!」とか、「なんで大事な幹部候補をあんなヤワいシェルターに集めてんの!どう見てもヤマト本体が一番頑丈でしょナンでそこに入れてやんないの!あそこで迎撃させりゃいいじゃないの人材の無駄遣いだよ!血税を預かる身としてそこんとこどう思ってんの!」とかその他イロイロ、意地悪かもしれませんが田原総一朗氏に免じて許してくださいー>ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ

まあ、上のようなことは「愉快なギャグ」として見て見ぬフリできなくも無いですが、私が「ちょっとコレはヤバイんじゃないの(;・∀・)」と思ってしまったのは、何を隠そうコードネームと作戦名。

えーっとね、イスカンダル船が「アマテラス」なら「ウズメ」は回収班じゃなくて囮艦隊でしょ?
「囮艦隊はガミラスをおびき出す役割なのだから、それは違う!」と仰る向きがあるかもしれませんが、「神」と「敵」が同一視されるのは神話構造ではよくあることですから無問題。
踊って踊ってわっはっはーーってやってるトコに大御神が顔を出すんですよ。
そこで大御神をキャッチするのは天手力男神、だから古代と島のコードネームは「タヂカラオ」でないとオカシイ。
神話を引っ張ってきてるにも関わらず、この無神経さはヤバイ。
何がヤバイのかは諸星大二郎の「闇の客人」あたり読んでいただけるといいんじゃないかとかそういうネタは脇に置くとしてですね(汗)、神話に対してそこまで無理解無神経な割に、その神話をなぞろうとしている節があるのが超ヤバイ(脂汗)

まあですね、コードネームの間違いくらいなら土方さんか藤堂さんあたりに「ボクあんまり神話に詳しくないんだーてへぺろ☆」とでも言ってもらえば「お茶目なギャグ」として目を瞑れないことも無い。

しかしですよ、「イズモ計画」と「ヤマト計画」これはヤバイ。
言い訳効かないレベルでヤバイ。

「イズモ計画」―――
計画の内容から、これは「出雲の国譲り神話」を想定しての命名と察します。
ガミラスという天孫が「地球譲れや(゚Д゚)ゴルァ!!」とやって来たから、地球人=大国主命が「チッしゃーねえなあ俺ら別のトコ行かねーと生きてけねーよなあ」って移住するワケです。
公式サイトには何故か最初「ヤヨイ計画」という名称が記されていましたが、今は削除されていますし、公式に本編に採用されたこの命名から読み取れる情報は、どうしても先ほど述べた事情を含んでいると考えざるを得ません。

では、なんでコレがヤバイのか。

キバヤシ< 「ヤマト計画のヤマトは『戦艦大和』ではなく、『カムヤマトイワレビコノミコト』或いは『ヤマトタケルノミコト』を指しているのだよ!」
Ω ΩΩ< 「な、なんだってー!!」

おいおいおい「東征」だよイスカンダルへの航海の意味が変わっちまったよヤバイよどうすんの!!!

……………はい、「考えすぎ」と仰るのはもっともです。
たぶんそこまで深く考えて命名してはいないと思います。
というか、そう信じたいですよ私も。
でも、「神話」というのはそれくらいハンパない深みと広がりを持った存在であり、生半可な擬えで間違った「祭り」を行うのは、マトモな神経を持った人間なら避けて当然だと思うんですよ。
ここに切り込んでいくには、それこそ諸星大二郎か星野之宣クラスの構築が出来てからでないと、大火傷負うんじゃないかと。

実は、これを「杞憂」と思えない理由が、もう一つあるんです。
それは、ヤマト発進の折に「第二次大戦で沈んだ戦艦大和の魂を受け継ぐもの」として描かなかったこと、なんです。
ヤマトを大和と結びつけるのを避けた一方、イズモとヤマトを深い関わりのある事柄として作中に取り上げた。
そうである以上、宇宙戦艦ヤマトは旧海軍の命名慣例に基づいた「旧国名としての大和国」ではなく、天孫降臨や国譲り神話、神武天皇や日本武尊の東征神話との繋がりを濃く反映したものとなってしまった。
私はこっちの方が余程危うい話ではないかと思ってしまいます。

それこそ、諸星星野レベルの構築が出来れば問題ないのですよ。
そういう野心作を作っちゃいけないって法もありませんよ。
ただね、それを「リメイク作品」でやるのは、どうなんでしょうか……
もし本当にそういう物語を紡ぎたいのなら、まったくのオリジナルで挑むべきでしょうし、そうではなくて「なんかそれっぽい名前を神話から借りてきました」っていうんなら、もう少し元ネタの扱いに慎重であるべきではないかと思います。

無粋極まりないツッコミでゴメンナサイね。
でも、どうしても気になって仕方なかったので、ここに書かせていただきました。

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2 コメント

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Unknown (モリキン)
2012-08-19 21:09:05
ケーブルテレビで第1話を見て以来感じていたモヤモヤを、よくぞうまく言葉で表してくれた!という感じです。
「ヤマトタケル」って、都に帰り着けなかったんですよね・・・。
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Unknown (やや矢野屋)
2012-09-10 00:28:14
モリキンさん

コメントありがとうございます。
「ヤマトタケル」より「カムヤマトイワレビコ」の方がマッチしてますねーそうすると(汗)
「現実の歴史と架空の物語を混同するのはよくない」と、戦艦大和との関係性をオミットしたことを評価する人もいらっしゃいますが、そうすると「なぜあのフネはあんな形をしているのか、どうして『ヤマト』と名付けられたのか」が分からないんですよ。
「偽装したガワに合わせた」?しなきゃイイじゃん偽装なんて。ナナメって建造する面倒も消えるっしょ。
根性の悪いワタクシめは、そのように考えてしまいます、はい。
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