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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

DNA鑑定

2020年08月31日 18時15分42秒 | 読書・文学
ある日、最上川の下流の中洲から、人骨に似た大腿骨が発見された。人骨と証明されたら「殺人事件」につながる。

DNAを抽出し、脊髄動物万能プライマーを用いてPCRを行い、塩基配列を調べた。その結果、この骨は人間のものでなく、ニホンジカと判明した

山形県では縄文時代の遺跡からシカの角がよくみつかる。
そこで、どこから来たシカなのか?

すると、北海道に分布するエゾシカのものだった。
さらに細かく調べた結果、阿寒町周辺。
「阿寒ブランド」の骨付きエゾシカ肉を業者から購入し、バーベキューで食べたあと残った骨を捨てたものである。

食べたもののDNAがウンコにどのくらい残っているか?

愛犬の糞から採取したDNAを調べた結果は
ドックフードの原料に用いられたウシやニワトリなどのDNAがぞろぞろ検出された。つまりイヌの消化管は、日頃の食事に由来するDNAだらけになっていた

腸から剥がれ落ちたヒト細胞由来のDNAも私のウンコには多量にふくまれていた。
ウンコによる個人識別も容易に可能である。
犯罪者は犯行後、現場にウンコを残して立ち去ることが少なからずあるという。いずれはウンコのDNA情報がDNAデータベースに登録され、永久に保存される日がくるかも

とぐろを巻いてるウンコの先端部分から、順次DNAを回収すれば、一日三度の食事内容がわかるのではないか?

その予備実験として、3体のご遺体の司法解剖時に、サンプルを用いてDNA鑑定を試みた。

事例1では、死の一日前にソバを食べていた

事例2では、大豆のみが検出された。
もしかしたら体調不良で大好きな枝豆(鶴岡市ではだだちゃ豆が有名)しか喉を通らなかったのであろうか

事例3では、死の少し前に鮭おにぎりを食べていることから交通事故かなにかによる急死だった可能性がある

犯罪捜査においての虫の有効性
「法医昆虫学」

一定時間以上死後経過すると、遺体の腐敗具合を参考にする。そこで、死体にとりついたウジを使う。

「やれ打つな蝿が手を摺り足をする」小林一茶

地球上でいちばん大きな生物といえば何だと思われるだろうか。

恐竜やマンモスでなく、オレゴン州のオニナラタケというキノコ。森林のあちこちで菌糸を採取したにもかかわらず、菌糸は「一個体」であった。
オニナラタケが覆っていた地表の面積は東京ドームの190個分

~~水に流せない情報~~

実は水には、海水であれ淡水であれ、生物由来の多様なDNAが含まれている。
プールであれば泳いだ人の識別まで可能な場合がある。
「環境DNA」

風呂場で水死させた遺体を河原に運び、川での溺死を装った事件。

溺死であれば、飲んだ水で肺が膨張している。
池や川、海水にはプランクトンのケイ藻が棲んでいるので肺から多量のケイ藻が検出されれば、溺死の証明になる。
また、川と海ではケイ藻の種類がかなり違う。

致命的な手抜かりとなった。

~~日本人の起源は縄文人の起源~~

日本民族はDNAの「吹き溜まり」とも、世界で最もDNAの多様性に富む民族のひとつであるともいわれている。

大きく見れば、日本民族は古くから日本列島にいた旧石器の流れをくむ縄文人と、渡来系の弥生人が混血して誕生したと考えられている

両者がミックスした結果、現代人のDNAの10~30%程度は縄文系由来で、残りは弥生系。

縄文時代の年代は1万6000千年前に始まり、2500年前に終わったとされる。渡来した弥生人は体格がよく、恒常的に稲作を営み、縄文人を一気に駆逐する交替劇は行われなかった

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