「どうしたの」
女の子が聞く
「何でも…ない…の」
「変なの」と、そっぽを向いて
窓の外に目をやった
「何処で降りるの」
「次よ…」
降り損なったお母さんの顔が
ぽっと赤らんでいた
暑い日差しが
電車の中に差し込み
冷房微弱の電車の中
額に襟元に
じっとりと汗がにじむ
次の駅に電車が停まり
母娘が足早に降りた
「おじちゃん、バイバイ」
女の子が手を振っていた
田舎に行く
女の子の心は
もう、田舎に行っている
大人みたいな口振り
こぼれる笑顔
早朝の暑い電車の中に
あの可愛い女の子が
一コマのドラマを
残して消えていった
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