あわただしく今年は桜の季節がすぎ、
昨夜からこれで何度目かの春の嵐・・みなさんのところは大丈夫でしたか?
各地で被害の報告がされているようですので、お気をつけくださいね。^^
3月の鎌倉散策、書きかけを続けます。
化粧坂について、以下、2つ引用します。
『「化粧」を「ケショウ」と読むとそれは現在の意味の通りに「白粉でお化粧」の意味であるが、
古くは「ケワイ」とも読み、その場合は「身だしなみを整える」と言う意味に使われる。
その意味からは「都市」=「ハレの場」に入る境で「身だしなみを整える」と言う意味で
「ケワイ(化粧)坂」、つまりは「鎌倉中」への境界である坂との意味と考えるのが
自然であると言う説がある。(「中世都市鎌倉の実像と境界」p178 五味文彦)
鎌倉以外にも「化粧坂」という地名は各地にみられ、多くは中世の国府や守護所などの
近辺に見られる。その伝承の中にも境界で「身だしなみを整える」と解釈出来るものがあり、
「境界の場の呼称」として「化粧坂」と通称されていたそのひとつとも考えられる。』
引用:Wikipedeia
ちくま学芸文庫の「江戸の坂 東京の坂(全) 横関英一著では
『化粧坂(けわいざか)と呼ぶ坂があった。江戸時代に少なく地方に多い坂名である。」
江戸では、浅草の千束町から吉原土手に上がる坂を化粧坂と行った。これ一つだけである。
しかも、吉原土手がなくなったとき、同時にこの坂も消えてしまった。
化粧坂の意味は化粧(けしょう)に関係する坂を言ったのである。化粧は仮粧とも
書き「けわい」と読む。化粧(けわい)は「けしょう」の古語である。』引用:(186頁)
全国の化粧坂をいくつかをピックアップして解説(引用:188~191頁)
A-1 宮城県名取郡岩切
-2 宮城県宮城群利府村神谷沢
-3 毛利坂とも書く。新潟県中頸城郡妙高原町(旧称名香山村字毛祝坂新田)
B-1 神奈川県鎌倉市扇ヶ谷4丁目
-2 神奈川県大磯町
C 粧坂(けわいざか)・・・岩手県平泉中尊寺八幡社跡西方の坂
D 神奈川県足柄上郡南足柄村弘西寺
各々検証の後に
『・・・おざっぱに分けると次の3つに集約される。
1、人が化粧したところの坂
2、人がなにかに化粧したところの坂
3、遊女やのそばの坂(集団化粧)』
と結んでいる。
鏡のない時代に水鏡など自然のものを鏡として
化粧したことからその名がついたという事例として
Aの解説があり、美しい坂景色が目にうかぶ。
鎌倉の化粧坂は、B-1でとりあげられているが
『化粧坂、気生坂、形勢坂とも書く。発音はケワヒざか(気和飛坂)
である。昔、ここは鎌倉の傾城町のあったところ、そして曽我の
五郎致の愛娼「化粧坂の少将」のいたところであるという。一説には
昔、平家の大将の首級に、化粧を施して実検に供えたところ
であるとも言われる。もちろん、等しく化粧に関係のあることである。』
とあり、五味文彦氏の
「都市」=「ハレの場」に入る境で「身だしなみを整える」と言う意味で
「ケワイ(化粧)坂」、つまりは「鎌倉中」への境界である坂という説と
異なる。
ちなみに、参照したちくま学芸文庫の
「江戸の坂 東京の坂(全)」(2010年発行)だが
あとがきに
「1981年6月に刊行された『江戸の坂 東京の坂』と1982年2月に
刊行された『続江戸の坂 東京の坂』を併せて一冊にしたものである。
・・・本書に江戸の地図や地史などに数々の発見があり、坂の由来をはじめ
新たな説が出てきたのもあるが、著者が故人であることと、歴史的意義に
鑑みてそのままとした」とあり、30年前に書かれたものとのこと。
五味文彦氏の本をまだ読んではないが
「境界の場の呼称」として「化粧坂」という説に魅かれる。
石造物めぐりなどのときも感じるが、境界に対して独特の世界観が
あるように思う。
カシミール3D使用 関東平野迅速測図
場所は歴史的農業環境閲覧システムだと↓のあたり・・
http://habs.dc.affrc.go.jp/habs_map.html?zoom=15&lat=35.326125&lon=139.544746&layers=B0
矢印のあたりが化粧坂の始まり。
あらためてみると恐ろしい高低差ですね。
散策日は道がぬかるんでいて、かなり怖かったのですが
距離も短いですし、運動靴なら大丈夫な坂道です。
(とかいって、すべりそうになって叫んでしまいましたが。汗
足腰よわっているのか、坂では転びそうになりで必死の形相でしたが^^;
ウグイスの鳴き声をききながら、リスと遭遇したり、楽しい散策でした。
それにしても、源氏山に限らずトンビが多いのにはうんざりですね。
この日は扇川沿いに鶴岡八幡宮まで出て参拝し、ぼたん庭園で
牡丹の鑑賞をしてきました。
時間があれば、また写真をアップします。
※わからないことがあると手にとってみる本。
かなりの坂が網羅されており、おすすめです!
江戸の坂 東京の坂 (ちくま学芸文庫) | |
クリエーター情報なし | |
筑摩書房 |
※2013/11/09追記:kanageohis1964さんのブログに詳しい検証記事を見つけました。
【旧東海道】その10余録:「化粧坂」について
→http://kanageohis1964.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
・・・深いですねぇ。勉強になります。(^-^)