東北大地震が発生して一週間が経とうとしているが、災害は今も続いている。福島第一原発の状態は、政府の発表やメディアの報道を聞くかぎり、一進一退を繰り返しながら日を追って深刻になっていくように見える。微量ではあっても放射線の空気中への拡散は続いていることはたしかだが、この状況をどう評価するかは意見の分かれるところである。たとえば、住民の退避勧告の範囲にたいする日本政府とアメリカ政府の見解は大きく異なっている。英国や韓国も自国民にたいしてアメリカと同じ80キロと設定しているが、各野党も予防的な避難地域の拡大などの大胆な政治決断を政府にたいして申し入れているという。超党派で早急に検討してもらいたいと思う。 この点について、内田樹さん(神戸女学院大教授)も今朝(2011年3月17日)のasahi.comで、メディアで放射能の影響を過小評価する解説をしている専門家や、避難を促す専門家の発言を抑圧しているメディアの姿勢を批判しておられる。「危機的状況では、リスクを過小評価するよりは過大評価する方が生き延びる確率は高い」という指摘は分かりやすい。その上で、内田さんは、被災地の妊婦、幼児、病人、児童生徒、学生などに「疎開」を呼びかけて西日本で受け入れる準備を進めようと提案しておられる。被災地に近く、実際に余震や計画停電などの影響を受けている首都圏は、被災者の避難先としては適切ではないだろう。人々の気分や街の雰囲気も関西とはずいぶん違っているらしい。個人レベルだけでなく、政府や自治体が主導して早急に西日本における「疎開」受け入れの体制づくりが望まれる。
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