1968年6月5日、ロバート・F・ケネディが暗殺される16時間前に暗殺場所になったアンバサダーホテルを舞台に、事実の中にフィクションを盛り込み、「グランド・ホテル」スタイルという、同じ場所で様々な人物が同じ時間軸で交差する22名の群像劇。キャストがとにかく豪華で製作総指揮を名乗り出たアンソニー・ホプキンスを筆頭にシャロン・ストーン、ヘレン・ハント、イライジャ・ウッドなど主演級のキャストの他に監督のエミリオ・エステヴェスの父親のマーティン・シーンと監督の昔の恋人であったデミ・ムーア、その夫役を監督自身が演じている。監督の人脈を最大限に利用したキャスティングと思われる。
映画はアンバサダーホテルをアメリカ国家の縮図のように描かれ、様々な人々が行き来するロビーを始め、上層階には裕福な白人、調理場にはヒスパニック系、アフリカ系などの有色人種と彼らを人種差別する白人のマネージャーなどアメリカの底辺として描かれる。映画には人種差別的な発言が散りばめられ人種間の対立を浮き彫りにする。
時代背景としてベトナム戦争が色濃く描かれている。徴兵を逃れる為に偽装結婚をする若いカップル、LSDでラリって扉の向こう側にベトナム戦争の幻影を見る若い白人選挙班員など、当時のアメリカ国民の心の奥底に潜む闇を描いている。そんなアメリカ国民の理想と希望の象徴がロバート・F・ケネデイであり、明るい未来を信じていた矢先の暗殺事件で、失意と落胆に苛まれる人々の様子が映し出される。映画には実際のケネディの実写フィルムが随所に挿入される。街中でアフリカ系やヒスパニック系の人々に自分から歩み寄る姿や、大勢の人々の前で演説をする姿など興味深い映像だ。
映画の感想
この映画はロバート・F・ケネディの暗殺を描いているが悲壮感はあまり感じられなかった。この映画の主役はホテルに集まった22名であり、彼らの多くは対立から和解に向かっているのもその要因かもしれない。それにしても本作を見るといまだにケネディ信仰は根強くベトナム戦争や湾岸戦争、そして9.11事件から対テロ戦争に直面した時に、人々の頭の片隅には「あの時にケネディが生きていれば」という考えが付きまとっている様にも感じ取れる。
監督としてのエステヴェスは、昨年亡くなったロバート・アルトマンの思わせる群像劇として手堅く手腕を発揮し、脚本家として「クラッシュ」の思わせる人種問題を散りばめた人間ドラマとして構成している。ここ数年、表舞台から姿を消していたエステヴェスだが監督そして脚本家として第一線に帰ってきた。
本作はケネディ暗殺事件を背景にアメリカの光と影を焙り出していて、その後のベトナム戦争の長期化や今現在でも迷走し続けているアメリカの歴史から見ると、1968年6月5日はアメリカ国民にとって希望と言う絶頂の日から、奈落の底へ叩き落された歴史上忘れられない日になってしまった悲劇の一日であった事は確かである。
エミリオ・エステヴェス監督の力作、必見の作品である。
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時代背景としてベトナム戦争が色濃く描かれている。徴兵を逃れる為に偽装結婚をする若いカップル、LSDでラリって扉の向こう側にベトナム戦争の幻影を見る若い白人選挙班員など、当時のアメリカ国民の心の奥底に潜む闇を描いている。そんなアメリカ国民の理想と希望の象徴がロバート・F・ケネデイであり、明るい未来を信じていた矢先の暗殺事件で、失意と落胆に苛まれる人々の様子が映し出される。映画には実際のケネディの実写フィルムが随所に挿入される。街中でアフリカ系やヒスパニック系の人々に自分から歩み寄る姿や、大勢の人々の前で演説をする姿など興味深い映像だ。
映画の感想
この映画はロバート・F・ケネディの暗殺を描いているが悲壮感はあまり感じられなかった。この映画の主役はホテルに集まった22名であり、彼らの多くは対立から和解に向かっているのもその要因かもしれない。それにしても本作を見るといまだにケネディ信仰は根強くベトナム戦争や湾岸戦争、そして9.11事件から対テロ戦争に直面した時に、人々の頭の片隅には「あの時にケネディが生きていれば」という考えが付きまとっている様にも感じ取れる。
監督としてのエステヴェスは、昨年亡くなったロバート・アルトマンの思わせる群像劇として手堅く手腕を発揮し、脚本家として「クラッシュ」の思わせる人種問題を散りばめた人間ドラマとして構成している。ここ数年、表舞台から姿を消していたエステヴェスだが監督そして脚本家として第一線に帰ってきた。
本作はケネディ暗殺事件を背景にアメリカの光と影を焙り出していて、その後のベトナム戦争の長期化や今現在でも迷走し続けているアメリカの歴史から見ると、1968年6月5日はアメリカ国民にとって希望と言う絶頂の日から、奈落の底へ叩き落された歴史上忘れられない日になってしまった悲劇の一日であった事は確かである。
エミリオ・エステヴェス監督の力作、必見の作品である。
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