5月5日の米株はS&P500が-3.44%の大幅な反落となりました。
米10年債利回りが3%を再び超えた事も悪材料ですが、
それ以上に深刻なのが賃金インフレによる
収益の悪化という「市場予測」です。
米労働生産性、第1四半期7.5%低下 1947年以来の下げ幅
市場予想5.4%低下を大きく超えています。
給料が上がり雇用が増え、所得も消費も伸びる好景気サイクルと違って、
今のアメリカはコロナの影響により離職率が高く、
労働力のコストが急激に膨れ上がっています。
感染リスクの高い対面型の職種よりも、
楽ちんで安全なフルリモートを希望する人が増えているため、
転職と職業形態のえり好みの傾向が強いです。
労働者にとっては売り手市場で素晴らしい事なのですが、
企業にとっては利益が人件費により圧迫され
製品の値段を上げないと倒産やリストラを迫られることになります。
製品の値上げによってさらにインフレが加速し、
労働者は物が買えず「生活費のために」
もっと高い給与を求めなければならず、
「必死に」転職活動を続ける……
という悪性のインフレのスパイラルが起こりえるわけです。
こうなると労働者が労働しない時間が増えてしまい、
新しい職場に適応するまで能率も落ちやすいと考えられます。
生産性と収益が落ちれば、
いずれ倒産する企業も増えてくるでしょう。
物価の上昇(=貨幣価値の希薄化)によって労働者や消費者の購買力も落ち、
物が売れないインフレの中での不況、
つまりスタグフレーションの状態がやってきます。
アメリカの場合、アマゾンの労働者組合結成に見られるように、
物言う労働者がストライキなど賃金や待遇を求めて活動を活発化させ、
公平な配分や、社会福祉の向上につながっていくと思われます。
GAFAのような巨大なテック企業なら
高い賃金や好待遇が可能でも
他の一般企業の生産性はそれほど高くないのがアメリカの現状です。
(以下そのデータやソースなど。私の自作のエクセル表もあります)
時価総額
全米………53兆ドル(2021年末時点)
S&P500…42兆ドル(2021年末時点)
https://siblisresearch.com/data/us-stock-market-value/
GAFA…… 7兆ドル(2022年5月6日時点)
東証……711兆円(2022年4月末、プライム~グロースの全合計、GAFA4社のほうが大きい(;´Д`))
> ごく少数の企業が投資家に並外れたリターンを提供している。
> 4%の企業が米国株式市場全体のリターンを産み、
> 1926年から2016年の間に0.36%の企業が株式市場のリターンの50%以上を産んだ。(意訳抜粋)
https://siblisresearch.com/data/us-equity-returns/
S&P500の営業利益率
13.4%
米製造業の営業利益率
11%
2021.10.26 エコノミスト・ストラテジスト・レポート ~鳥瞰の眼・虫瞰の眼~|マーケットライブラリー|りそなアセットマネジメント
GAFAの営業利益率
27.6%
日本の製造業の営業利益率
平均4%
(飲食など他の業種はもっと悪い(;´Д`))
でもキーエンス(6861)は48.9% すっご
したがって、FRBはこのスタグフレーションの悪循環に陥らないよう、
インフレ退治をもっと加速させる必要があり、
場合によっては株式市場を犠牲にしてでも、
強力な金融引き締めによって
インフレマインドや貨幣価値の希薄化を収束させようとするのではないか?
と市場関係者が予測し、
株式から逃げているわけです。
日銀の金融緩和を見ていても思うのですが
中央銀行の金融政策だけで
インフレやデフレをコントロールすることは不可能です。
今回のアメリカの事例も
コロナやウクライナ危機という外部要因と、
巨額の財政出動をやったバイデン政権(Bidenflationという造語を見つけました)、
移民規制と企業の国内回帰=保護貿易主義を求める半数の国民
という複合的な要因が考えられます。
MMTの壮大な実験が最終的に成功するにせよ、
それまでの過程で振り回される低所得者層は
堪ったものではありません。
それと、暴落時の注意点として、
全売りはやらないほうがいいです。
なぜかというと、
底打ちのタイミングは誰にも予測できないので、
リバウンドの瞬間を逃してしまうと
リターンも上がりません。
手放して買い戻す手数料もバカにならないです。
過去200年の歴史を見れば、
暴落しても回復して右肩上がりになっている、
超長期のチャートを今一度見直して耐えましょう。
バーゲンセールの今こそ積み立て!
でも私は軸足を債券や外貨預金にしようと思います(;´Д`)もうそんな増やさなくて良いよ……リスク怖い