拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

童が見た「野ばら」の詐称疑惑

2024-05-28 06:21:14 | 園芸

園芸初等科1年D組のワタクシにとって草木の世界は未知の世界。分からないことだらけ。例えばバラとツバキの区別は、
①中央部分も含めて花全体が花びらで被われてるのがバラで、花びらが周縁部にだけあるのがツバキ
②花びらがギザギザなのがバラで、丸いのがツバキ
③トゲがあるのがバラで、ないのがツバキ
④葉っぱの色が薄くて厚みがないのがバラで、濃くて厚いのがツバキ
だと思ってたんだけど、じゃこれは?

花全体が花びらなんだけどツバキなんだって(千重咲きのツバキ。写真はウィキペディアから拝借。以下の写真も同じ)。たしかに花びらは丸いし葉っぱはツバキっぽい。じゃ、これは?

花びらが周縁部にしかないけどバラ(ロサ・カリフォルニカ)。もうワケわかんない。トゲの有無も決定打にはならないようだし(モッコウバラにはトゲがない)。結局、花びら、葉っぱ、枝等々を総合的に見て判断するしかないみたい(その中でも葉っぱは結構決め手になる?花は服みたいにいろいろ替えられても葉っぱでお里が知れる、ってことだろうか)。

あと、蕾にもバラの特徴が出るらしい。ネットに写真を揚げて「これはツバキですか?」って聞いてる人に「八重咲きのツバキだと思ったのですか?これはバラです。蕾で分かります」と丁寧に答えてる人がいた。同じような疑問を持つ人が他にもいたことと、答えてあげた人が「あなたそんなことも知らないの?園芸なんかやめときな」って言い方をしなかったことにホッとした。ネット民は攻撃的な人(人格が疑われるような人)が多いからね。

因みに、椿と言ったら伊豆七島の大島の椿油を思い出すんだけど、同じ「大島」でも「大島紬」の「大島」は奄美大島(鹿児島県)だってことを最近知った。漱石を読んでたら「大島の表と秩父の裏」って出てきて、その後「鹿児島と埼玉」って続いて最初はちんぷんかんぷん。まず「表と裏」は着物のことだろうから「大島」「秩父」は織物のことなのかな?と想像して、それは合ってて、「大島紬」と「秩父銘仙」のことだったんだけど、「大島」と「鹿児島」が結びつかなくて往生した。今から考えると「秩父」=「埼玉」なんだから「大島」から「鹿児島」を連想すべきだったんだけど、どうしても「大島」と言ったら椿油の伊豆七島の方を思い浮かべちゃって(足立区と同じ東京都だし)。だから、しばらく登場人物が鹿児島出身なのかと思っていた。そんな具合だから、私、漱石を読んだと言っても、半分は理解していない自信がある。

椿油に対してバラからとった油はローズオイルと言って、美容にも精神にも良いってことは、大島紬よりももっと最近知った。すなわち、たった今知った。

あと、「椿姫」ってオペラがあるけど「バラ姫」ってオペラは浅学にして知らない。「バラの騎士」ってオペラがあるけど「ツバキの騎士」ってオペラは浅学にして知らない(「リボンの騎士」って漫画があるのは知ってる)。

歌曲でバラと言ったらこれはもうシューベルトやヴェルナーの「野ばら」(原詩の作者はゲーテ)。ところで、日本で「野ばら」と言ったら、植物学的にはコレ。

正しくはノイバラ(野茨)と言うそうな。これも一般的なバラの形状とは随分異なる……と、ここで問題。し、白い。歌の「野ばら」は♪紅匂う(Röslein,rot)と言ってるから赤。色が違う。ノイバラの詐称疑惑が生じた。ノイバラよ、貴様は本当に野ばらかっ?だが、ノイバラが自分で「野ばら」と名乗ったわけではない。そもそもゲーテは童に見られてこれを刺すも結局は手折られてしまう花を「Röslein auf der Heiden」と呼んだ。「野に咲く小さいバラ」という意味だ。じゃあ、大昔、この歌詞を訳した人が「野ばら」と言ったのか?否。訳した人は二種類の訳を起こしたがそのタイトルの一方は「野中のバラ」で他方は「荒野のバラ」。まだ原詩に忠実である。これがいつ「野ばら」になったのかは定かではない。時が流れる間に集団圧力でそう変わっていったのか。だが、そもそもノイバラが植物学において野ばらと言われていたからと言って、それを歌の野ばらに結びつけることが間違っていたのやも知れぬ。それぞれは「歌の世界」「植物の世界」というパラレルワールドにおける相容れない存在だったのかも知れない。横野君は、シューベルトの「野ばら」を歌ったとき、ノイバラをイメージして歌ったと言ってえばってたけど、お門違いだったかもね。お気の毒様。

なお、原詩の「Röslein auf der Heiden」についてだが、「auf der」だから文法的には「Heide」でなければならないはずだが、韻を踏むために「n」をくっつけたのである。詩人は韻を踏むためには何でもするのである。



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