ステージドアで待っていたとき、現地の女性ファンが「ラスベガスでも観るといいわ。ベガスの方が、むしろここよりも面白かったかも知れない…何というか、あっちはもっと“crisp”だった」と言われました。私にしてみれば、現ブロードウェイのジャロッド・スペクター/コーリー・グラントのフランキー役コンビは「最強」と言ってもいいほど満足度は高いし、今さらラスベガスがいいと言われても~なんて、ちょっと違和感を覚えたりしたのですが…でも、おっしゃりたいことは分かる気もしました。
確かに、シカゴと比べても、ブロードウェイのパフォーマンスは「大人しい」感じがした。
シカゴでは、まず、笑いのショーストップが何度も起きた。ボブ・クリュー役がとてつもない破壊力で観客を爆笑の渦に巻き込む!(でも、私が観たときの人は、もうシカゴプロダクションはいません…後任の人は大変だろうな)それに加えて「トミー&ニック」「トミー&ジョーイ」がまるでコメディ・チームのようで、たくさん笑いを取っていた。ラスベガスも、恐らくシカゴのように、或いはあれ以上に、「登場人物はキャラ立ちまくり」で「勢いで突っ走る」舞台なのではないだろうか?
ただ、シカゴでは、それぞれがコミカルな味付けの演技をしていても、それなりに「上手いな」と思ったのだけど、当時のシカゴのトミー役だけは、ちょっと「イラッ」ときてしまいましてね…とてもハンサムで見栄えがよく、セクシー…歌もうまかったのだけど、「まるで、ボードビル・ショーな演技」は、何度観ても、どうしても好きになれませんでした。
JBは、ノリのいい音楽と、コメディの要素も強い脚本があるので、あんまり難しいところは追及しないで、ひたすら「ノリと勢い」で突っ走るパフォーマンスにしようと思えば、どれだけでもできるんですよね。そこを「着地点」とするんなら、人材だって全く不自由しないだろうし。(しかし、そんなことされたら、JBが舞台劇としてもいかに優れているか、くどくどと主張してきた私の立場はなくなる…汗)ラスベガスの舞台は、おそらくそういうテイストだったんじゃないでしょうか?シカゴも、少しそういう方向性はあった。だいたい、観客の大多数はそれで満足するんだろうし(…)
そして、ブロードウェイ・ヴァージョンは、敢えて「ボードビル風味にはしないんだ!」という「こだわり」を見せているようにも思えました。とにかく、全体的に「抑えめ」
ブロードウェーのJERSEY BOYSは、何だかんだ言っても、トニー賞作品賞に選ばれている舞台です。「色もの」にはせずに、あくまでも「正攻法」で行くのだというこだわりがあって「当然」といえば当然かも。
で、コーリー・グラントは、シカゴと同じ芝居だったら、かなり浮くだろうな…きっと芝居を変えているんだろう…と想像していましたら、やはりそのとおりでした。(彼はオフのプレイを中心に活動していたので、濃い芝居大好き、修羅場な場面大好き(?)なところがある)
ブロードウェイのトミー役であるドミニク・ノルフィは、とても器用そうな役者さんなので期待していたのですが、やはり全体的に「大人しい」感じがして(特に、トミーにしては、声が優しすぎる)、「慣れるまで」物足りませんでした。(NGだったはずのシカゴのトミーが懐かしく思い出されてしまったり…汗)ただ、彼の場合は見るからにイタリア系な雰囲気を持っているし、地元の人にしてみれば、ニュー・ジャージーにいそうなワルっぽいイタリア系の若者というイメージで、何の抵抗もなく観ることができるのかも知れないとも思いました。最初のモノローグ「トミー・デヴィート!ベルヴィル、ニュー・ジャージー!」と高らかに宣言すると客席からは大喝采。しかし、発見したのですが、ブロードウェイではそのあと“Native son!”を言わないんですね!?
まぁ、言う必要もないんだろう…
そんな感じで、小さな「チェンジ」はたくさんありました。
まず、ブロードウェイは女性アンサンブルが非常に上手い!!シカゴではMy Boyfriend's Backとか、ブーイングをしてやりたい衝動に駆られたこともありましたけど(?)ブロードウェイのでは、久しぶりに完璧な女声パートを聴いたような感じでした。Good Job!
そればかりでなく、女性アンサンブルは、どの人も外見も良くて華がある。JBでの女性アンサンブルは、3人で何と52役をするというとてつもない役どころなのですが、どの役も非常にスマートにこなしていた感じでした。ロレイン&その他を担当するヘザー・ファーガソンさんとはステージドアで話しましたが、歌もダンスも上手いし、素顔もとても感じのいい方。「私はロレインと同じ、丸いスーツケースが欲しい」などと、アホなことを言っても、ちゃんとウケてくださいました(?)彼女のロレインはホンワカしていて、いかにも「キャリアウーマンでございます」という感じが全然ない。シカゴとは違う演じ方でした。
フランキーが語り手となるWinterのパートの最初「ニックはクインシー・ジョーンズになれる才能もあった~」と語る場面で、ジャロッドが薄らと笑いを浮かべるので、最初は「?」だった。「台詞を間違えそうになって、照れ笑いしてるのか?」とか思ったり(バカな…笑)また、ボブ・ゴーディオが「表に出るのをやめたい」と言い出して、フランキーが説得を試みるも、逆にやり込められてしまう場面、“F… you!”と言いながら、またまた薄らと笑うんですよね(「お前は困った奴だ」みたいな表情で)…ここも「はぁ?」と思っていたら、別の日のジャロッドも、コーリーも、やはりここで笑った。…そうか~、ここでは、フランキーは笑いを浮かべることで、既に他のメンバーよりも精神的に成長していて、ある種のゆとりの表情を浮かべることができるのだという解釈になっているようです。
Winterのパートは、シカゴでは、フランキーがどんどん孤独に陥っていく様子が見ていて辛かったけれど、ブロードウェイではこの「薄笑」シーンのおかげで、だいぶ辛さは緩和され、観ている側に僅かばかりの「救い」がもたらされる感じでした。
そして、ブロードウェイのニック・マッシ!
よろしいですか~
JBをブロードウェイでしかご覧になっていらっしゃらない方で、現在のニック役でしかご覧になっていない方には、わたくしが何故このキャラクターにここまで入れ込むのか理解に苦しまれることでしょう!私も理解に苦しみました!!ホントにもう~、あの役の俳優を替えてください!!
で、シカゴのランが終了したら、すぐにマイケル・インガーソルを連れて来なさい!!
あれじゃぁ、単なる「ヤル気のないおやじ」だろうが~(怒)で、例の「4人の仲間がいて、自分がリンゴだったら…」の台詞だけで、それまでの全ての怠慢を帳消しにしようとするような安易な解釈は止めていただきたい!役柄の解釈も×なら、バスの声も×!!!
やはり、マイケルは素晴らしかった!
とまぁ、他にもいろいろ書きたいことはありますが、一旦ここで切ります。
今回はニューアーク発着の便だったのですが、ニューアークからマンハッタンの車窓の風景が、JBの背景そのままだったのが何よりの感動でした(!)
「おお~ここで降ろしてください~!」なんて言いそうになった(?)
車内から撮っているので、あんまりいい写真ではありませんが「ああ、これがJERSEY BOYSの世界だよ~」と感動しながらシャッターを切っておりました。
To be continued…
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