アメリカの映画やTVなどでは、冷戦終結後は、家庭回帰のテーマが目立つようになったと言われていますが、SEINFELDでは、NYのど真ん中に住む30代たち、安定した家庭生活とは対極にあるような4人が無邪気に騒いでいました。それが大人気を博していたんです。
第7シーズンはいきなりGeorgeとSusanの婚約の場面から始まります。こういう設定は、スタッフにはちょっと冒険だったようですね。でも、これが最後のシーズンとなったLarry Davidは、彼なりの信念を持ってこのシーズンに取り組んだようです。「婚約」という変化球も、結果的にはそれまでつくり上げてきたSEINFELDのイメージを損なうことにはなりませんでした。
The EngagementⅠ
さて、Susanと婚約したGeorgeが嬉々としてJerryの部屋にやって来ます。
George(Jason Alexander)のテンションの高い(無邪気でおめでたい)芝居のみせどころ。
GEORGE: I'm a man. Jerry, I'm a man. And do you know why? It's because of that talk we had. You were my inspiration. Do you believe it? That lunch was the defining moment of my life.
(僕は男になったんだ、Jerry。一人前の男だよ。どうしてこうなったと思う?この間の話のお陰だよ。君がインスピレーションを与えてくれたんだ。信じられる?あのランチは僕の人生そのものだった。)
JERRY: I'm blown away.
(こりゃ、やられたな。)
GEORGE: You're blown?
(やられたって?)
この“I'm blown away.”“You're blown?”の意味がいまひとつつかめないんですよ…。(訳もテキトーです)ここでは、観客は笑っています。Jerryが“I'm blown away.”と言った時点で、彼がこの「協定」から抜けてしまっていることを仄めかしているからなのでしょうか?それとも、単に言葉の面白さなのでしょうか?? Help!です。
GEORGE: It took a couple of hours of convincing. I was persistent. I was just like those guys in the movies. And it worked! She said "Yes"! I can't believe my luck that she was still available . A beautiful woman like that. You think she's good looking, right?
(自分でもなかなか信じられなかったよ。僕は待ち続けたんだ。映画に出てくる人のようにね。で、ついに上手く行ったんだ。彼女は「Yes」と言った。彼女と結婚できる可能性がまだあったなんて信じられないよ。あんなにきれいな女性が。彼女は綺麗だと思うよね。)
JERRY: You're gonna have gorgeous kids.
(きっと、可愛い子が生まれるよ。)
…
GEORGE: …So, what's going on with you and Melanie? I mean, I know you're not getting married, but uh, things are happening?
(で、君はMelanieとはどうなったの?つまり、何というか、まだ婚約にはいかないとしても、進展はあった?)
JERRY: Well...actually, we kind of broke up.
(なんつーか、その…別れたっぽい…)
GEORGE: You what?(はぁ?)
Georgeに衝撃が走る!!
JERRY: Well, you know, we were having dinner the other night, and she's got this strangest habit. She eats her peas one at a time. You've never seen anything like it. It takes her an hour to finish them. I mean, we've had dinner other times. I've seen her eat Corn Niblets. But she scooped them.
(だってさ、この前の夜に一緒に食事をしたんだ。そしたら、彼女、世にも奇妙な食べ方をするんだよ。グリーンピースを1個ずつ食べるんだぜ。あんなの見たこともない!全部食べるのに1時間もかかってさ。この前食事をしたときは、スィートコーンをスプーンですくって食べたっていうのに。)
これだからね…いつものSEINFELD、まんまじゃありませんか…
George、呆然とする
GEORGE: What about the pact?
(僕たちの協定はどうなるんだ?)
JERRY: What?(はぁ?)
GEORGE: What happened to the pact? We were both gonna change. We shook hands on a pact. Did you not shake my hand on it uh?
(僕たちの協定はどうなるんだよ?二人で変わろうとしたんじゃないか?二人で握手をしてさ。僕と握手を交わしただろ?)
JERRY: You stuck your hand out, so I shook it. I don't know about a pact. Anyway, you should be happy you're engaged. You're getting married.
(君が手を差し出したから握手をしただけさ。協定って何よ?とにかく、君が婚約できて何よりだったよ。君は結婚するんだからな。)
Jerryが意地悪少年に見えます(笑)
そして、ここからGeorgeのウジウジ演技の見せ場になります。
もう、空気が冷え切っているのに、Jerryは白々しくGeorgeを映画に誘って、「そうだ!シャンペンで乾杯しなきゃ!」と言うんですが、どこを探してもシャンペンは見当たらなくて、結局、乾杯はナシ!になってしまう。もう、二人の間の空気は冷え切っているのに、Jerryはボケ倒すんですよ。
さて、その夜、JerryがGeorgeの部屋を訪ねて、一緒にHarrison FordのFIRESTORMを観に行こうと誘うのですが、SusanがGlen CloseとSally FieldのTHE MUTED HEARTを観たがっているというので、Jerryの誘いを受けられないんです。
その後、シネコンであった二人…。Susanは「あの二人は再会できるのかしら…」なんて余韻に浸りきっているけれど、Georgeは複雑。FIRESTORMを観たJerryは「Harrison Fordは飛行機から飛び降りながら、背後から奴らを撃つんだからね~!」なんて、一緒に観た人たちと大興奮で話してる。
さて、私は映画にはそんなに詳しくないんで、これらの映画FIRESTORMとTHE MUTED HEARTは実在の映画なんだろう…ぐらいに、軽く考えていたんですが、これらは創作上の映画なんですね。(たしかに、タイトルがベタすぎますが…)wikiにこんなページがありましたよ。
List of fictional films in Seinfeld
なになに、、以前のエピに出てきたROCHELLE, ROCHELLE,も実際の映画じゃなかったか。
しかし、SEINFELD…面白すぎ!!
その後、自分の部屋でYankeesのゲームに大興奮してるJerryはGeorgeに「今の観てる?」なんて電話をするんですが、GeorgeはSusanに「一緒にベッドルームでMAD ABOUT YOUを観ましょ!」とせがまれているところでした。
MAD ABOUT YOUは「恋愛小説家」でオスカーを獲得したHelen HuntとコメディアンのPaul Reiserの新婚夫婦が繰り広げるラブコメディ・タッチのsitcomです。
日本でも放送されていました。SEINFELDと同じく、LaLaTVでの放送でした。当時のチャンネル掲示板では、このMAD ABOUT YOUの方が好意的に受け入れられていたみたいでしたよ。まぁ、女性の視聴者が多いチャンネルだったんで、新婚夫婦の話は感情移入しやすかったのでしょうね。私は、基本的には、「人の幸せな話は苦手(!)」なんで、あんまり面白くなかった…。
ただ、このMAD ABOUT YOUには、Jerryを始め、SEINFELDの出演者がたくさん登場するんです。面白いのは、SEINFELDのKramerの住んでる部屋って、実はこのPaul(Paul Reiser)が「又貸し」していたものだったというエピソードがあって、例のアパートとKramerが登場するんですよね。
Richard Kindもレギュラーで出ています。
さて、婚約はしたものの、Susanの存在が負担になってくるGeorge…
ま、これも彼のキャラに馴染んでいる視聴者には予測できる事態ではあります。
出演者たちも、おそらく、シーズン最後には二人の婚約はなくなって、再び気楽なシングル4人の話になるんだろうという予定調和は予想していたと言います。しかし、当のLarry Davidも「どのように婚約を破綻させるか?」というアイデアはギリギリまではっきりしていなかったようです。
ある日、収録が終わって、JerryがLarryに「いっそのこと、シーズン最後にSusanを××してしまえば?!」と言うと、Larryは意味深な薄笑いを浮かべたとか…
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Unknown
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