お食事に招待され、「手土産」としてデザートを持っていたのに、先方ではそれが振る舞われなかった…だとしたら、我々はその手土産をまた持ち帰ってもいいのか…
ありますよね、こういうこと。ま、親しい間柄だったら「これ、みんなで食べようと思って持ってきたのよ。盛り付けて、テーブルに出してくださらない?」なんて普通に言えるんですが、このエピソードのような状況だったら無理かも。
GeorgeとSusanが婚約し、Georgeの両親がSusanの両親に食事に招かれたのでした。
Schnitzer'sでmarble rye(マーブルライ)を買っていくことにします。
Schnitzer'sはEast Villageにある実在のケーキ店で、5thシーズンのThe Dinner Partyにも出てきたお店のようですが、まだウラは取れていません。
Georgeの両親はかなりエキセントリックな人たち。二人顔さえ合わせれば痴話げんかをしているだけじゃなくて(それ自体も凄いんですが…)、世間にもあんまり友人もいないんです。Jerryの両親からもすっかり嫌われていていますしね。Jerryのママなんて、Georgeの両親の誘いを断るのに、あの手この手…というエピソードもありました。
さて、Susanの両親の方は4thシーズンThe Cheever Letters以来の登場となります。(こちら)
Susanのファミリーは、けっこう高級なアパートにお住まいになっています。ママの方は、何というか、3分に一度は「毒を吐いている」ような日常でありまして、家族とも上手くいっているのか、いないのか…なんだかよく分からないのです。だいたい、前回は、夫が小説家John Cheeverの「恋人」だったという事実が発覚して、今後、この一家はどうなるのか!!?…という衝撃的な終わり方をしています。
久しぶりに登場のこのご夫婦、あのユニークなキャラは保存も完璧なものだったようですね。なんかねぇ、一度冷凍して解凍した食べのもの味が全く変わっていなかったときのような「感動」を覚えてしまいました、私。
Georgeの両親も、Susanの両親も100パーセント「素」の状態で、どういうお食事会になるのか…
まず、Georgeの両親にしてみれば、狩猟が趣味で高級ワインの銘柄にも通じていて、見事な書斎を持っているSusanの両親とは基本的に話がかみ合わない。おまけに例のごとく、Georgeのパパが細かいネタにこだわり始め、場の空気は急速冷却!!!
ようやく「悪夢」のような食事が終わり、George一家は車で帰路についていました。
ここ、場面が頻繁に切り替わっています…
FRANK: And who doesn't serve cake after a meal? What kind of people? Would it kill them to put out a pound cake? Something!
(それにしても、食事の後にケーキも出さない者がいるか?どういうヤツらなんだ?パウンドケーキぐらい出しても良いだろうに!)
GEORGE: So, they didn't give you a piece of cake? Big deal.
(え、ケーキも出さなかったっけ?そりゃ大変だ。)
ESTELLE: It is a big deal. You're supposed to serve cake after a meal. I'm sorry. It's impolite.
(大変なことだわ。食事の後はケーキを出すものよ。なんてことなの。無礼だわ。)
FRANK: Not impolite...it's stupid, that's what it is. You gotta be stupid to do something like that!
(無礼どころじゃない、馬鹿だ。馬鹿そのものだな。こういうことをやれば、馬鹿と言われても仕方あるまい!)
ESTELLE: Your father's absolutely right. We're sitting there like idiots drinking coffee without a piece of cake!
(お父さんの言うとおりよ。私たちはケーキも出されないで、馬鹿みたいに座ってコーヒーだけ飲んでいたのよ。)
あれれ…パパは手に何かを持っています。
GEORGE: What is this? The marble rye?
(何それ?マーブルライじゃないの?)
MRS. ROSS: Oh, dear. I forgot to put out that - that bread they brought.
(まぁ、どうしましょ。あの人たちが持ってきたパンを出すのを忘れていたわ。)
ESTELLE: We forgot to bring it in.
(それ、持っていくの忘れていたかしら?)
FRANK: No, I brought it in. They never put it out.
(いや、持って行ったさ。ヤツらが出さなかったんだよ。)
MRS. ROSS: Where is it?(どこにあるのかしら?)
SUSAN: I don't know. Where'd you put it?
(さぁ…どこに置いた?)
MRS. ROSS: Right over there.
(どっかその辺りにおいたわよ。)
SUSAN: Well, it's gone.
(なくなったの?)
GEORGE: You stole the bread?
(パンを盗んできたの?)
FRANK: What do you mean stole? It's my bread. They didn't eat it. Why should I leave it there?
(盗むとは何だ!これは私のパンだ。ヤツらは食べなかった。なんで置いてこなきゃいけないんだ?)
GEORGE: Because we brought it for them!
(だって、あの人たちに持っていったんでしょ!)
FRANK: Apparently, it wasn't good enough for them to serve.
(いや、デザートとして出さなかったヤツらが悪いんだ。)
MRS. ROSS: Is it possible they took it back?
(きっと、あの人たちが持ち帰ったのよ。)
SUSAN: Who would bring a bread and take it back?
(一度持ってきたパンを持ち帰る人っている?)
MR. ROSS: Those people, that's who. I think they're sick.
(ま、あの人たちのやることだ。病的だな。)
ESTELLE: People take buses to get that rye.
(バスにまで乗ってあれを買いに行く人もいるのよ。)
GEORGE: Maybe they forgot to put it out!
(きっと、出すのをわすれたんだよ。)
FRANK: Aw, they didn't forget to put it out! It's deliberate! Deliberate, I tell ya!
(忘れたなんてことがあるものか!わざとだよ、わざと!絶対そうだ!)
この後、GeorgeはJerryとKramerの助けを借りて、Susanの両親のアパートの戸棚にさりげなくマーブルライを入れておこうとします。そこで、ドタバタ小細工が始まるわけです。
このシーズン、GeorgeとElaineの、「婚約」という大きなテーマを巡る複雑で繊細な演技が出色。Jerryは相変わらずjust a funny guyとしての役割を保っていますが、Kramerが完全にアニキャラになってしまっているのが残念な気がします。もっと、Kramer流に本筋に関ってきてもいいのに、と思う。
この、マーブルライを戻すドタバタ…
ちょうどその頃、Kramerが友人の代理として観光馬車の御者になっていて、Georgeが(小細工をする為に)Susanの両親を観光馬車に誘い出すのですが、展開といいオチといい、特に真新しいものはないですね。それよりも、観光馬車に乗るSusanの両親がとても嬉しそうなのがいいですよ。
MRS. ROSS: You know, George we haven't done anything romantic like this in ....years.
(George、私たち、何年もこんなロマンティックなことを体験していなかったわ。)
数年前に夫の秘密を知ってしまったママでしたが、あの一件で夫婦関係が完全に冷めてしまったわけではなかったようです。
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