理由の一つには、「受賞者の多くを、実際に見ている」ということで、例年よりも思い入れが大きいということもあるんでしょうか…っていうか、この1年以内に、ブロードウェイに3回も行ってるしな~(どれも、滞在は短かったんだけどね)(そういうことよりも、とても「まんべんなく観てきた」とは言えない観劇リスト

ところで、実は、日本時間の月曜朝に中継放送されたトニー賞ですが、私は最初から見ていたわけではありませんでした。
で、昨夜になって気づいたんですが、『ミリオン・ダラー・カルテット』で、ジェリー・リー・ルイス役をしたLevi Kreis(読み方わからん!)がミュージカル助演男優賞に選ばれていたんですね~♪このショーについては、先の記事では「いつか書き足します」なんて言いながら、そのままになっていますのと、この『ミリオン・ダラー・カルテット』での検索がけっこう多いので気になっていたんですが…まぁ、いろいろバタバタしてましてね。
その理由の一つは、私はNYC旅行中に、デジカメと電子辞書を「水没」させてしまいまして、それを何とか海外旅行保険の携行品補償でカバーできないものかと、いろいろ手続きをしていたのです。本当に、当初はショックでした~「な、なんてことを!」…
でも、もともとが、オバサンの「ちょっと無謀な一人旅」でもありますしね。昔から言うじゃありませんか、「大難は小難に」…やはりこれって、「これくらいで済んでよかった、と思うべきなのかもしれない」と、気を取り直しました。補償の問題も、なんとか上手く進んでいるようでございますし。何よりも、デジカメのデータは「守り抜き」ましたからね!(←根性!!)
で、話を戻しましょう。
この『ミリオン・ダラー・カルテット』のジェリー・リー・ルイス役が「助演」ということは、やっぱ、あのショーの「主演俳優」はサン・レコード社長役ということになるんでしょうね。
このショーは、1956年12月4日、メンフィスで実際に行われた、エルビス・プレスリー、ジェリー・リー・ルイス、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンスのセッションと、それをめぐる、サン・レコード社長サム・フィリップスの思いが交錯するドラマです。(もとい、「ドラマ」と言えるかどうかは「微妙」…笑)
登場人物のプレスリーについては、説明する必要もないでしょう。このショーの中でも、彼は既に押しも押されぬ大スターになっており、ちょっと古巣に立ち寄る…という感じで描かれています。(ガール・フレンドと一緒に)シンガーでもあるガール・フレンドは、プレスリーも、やがては壁にぶつかる日が来るであろうことを予測しており、この「立ち寄り」は彼の今後に何らかの影響力を残すようなセッションにしたいと願います。
ジョニー・キャッシュは映画WALK THE LINEで知っているくらいでしたが、いかにも素朴なカントリー・ボーイという感じ(笑)に描かれていますが、彼のルーツである、伝統的なカントリー音楽に、当時のロカビリーのテイストを取り入れて、新しい音楽世界を創作することについては、なかなか野心的な面を見せます。
カール・パーキンスはギタリストで、私は初めて知ったのですが、プレスリーのヒットで有名なBlue Suede Shoesを作った人だったのですね。彼は、この名曲を生み出しながらも、自身には注目が集まらないことが不満で仕方がありませんでした。また、「ロックはあくまでもギターから」と思う彼には、わきで、キーボードの派手なパフォーマンスをするジェリー・リー・ルイスが気に入らなくて仕方がありませんでした。
だいたい、それぞれ強烈な個性を持ったアーティストたち…みんな「一筋縄」でいくはずがありません。そして、田舎のマイナーなレコード会社を、メジャーなレーベルに押し上げるチャンスを狙う社長(演じるのはハンター・フォスター。見るのは3年ぶり。ちょっと老けたな…)
ショーの中では、ジェリー・リー・ルイス役はキーボードの前に座ったままの演技なのですが、本物のジェリー・リー・ルイスと同様、なかなか華があって、けれんみたっぷりのパフォーマンスをする人でした。カール・パーキンスは「お前はリベラーチェか!」と文句を言います。この「リベラーチェ」というピアニストの名前は日本でもご存知の方はいらっしゃると思います。JERSEY BOYSの中にも出てきます。ボブ・クリューと会ったボブ・ゴーディオが「僕はこの男に何かを感じた。ときは60年代…リベラーチェが劇的だと考えられていた時代だったから」と言って、笑いを誘うんですよね。
またまた話がずれましたが…
劇中においても、ジェリー・リー・ルイスは、いかにも「天才肌」で屈託がなく、自分の天性の勘を信じてパフォーマンスをしているよう。どこかストイックなパーキンスとは、基本的に反りが合わない…実際の、ジェリー・リー・ルイスは、その後大変なスキャンダルに見舞われるのですが、それを暗示する当て擦りのセリフもあったような気がします(記憶はぼんやり~ですいません)とにかく、このジェリー・リールイスという、いろんな意味でインパクトがあるアーティストを、非常に魅力的に演じていたのがLevi Kreisだったと思いますね。どうしても、彼に目が行きましたから。
ただ、ショーとしては小品の佇まいですし、エンディングのショーアップされた部分はちょっと「…」でしたね。もちろん、一人ひとりのアーティストとへのトリビュートとしては良かったのかもしれませんが、トータルとしては、あそこは完全に浮き上がってしまっていた感じ。(ドラマとは何にも関係ないというか~笑)ただ、観客は大喜びでしたが…もともとが一幕の短いショーですし、あれが限界かもしれませんけど。あとは「中途半端にJERSEY BOYS路線を狙わない方がいい」(笑)
ブロードウェイよりも、田舎のサパー・クラブとか、ラスベガスとか…そういう場所でやるには悪くないショーだと思います。
音楽の歴史の中では「伝説のセッション」というのはいくつかありますよね。このミリオン・ダラー・カルテットも、不思議な縁で同じ場所に集ったミュージシャンたちが、「永遠の一瞬」を作り上げた時間に、私たちを引き戻してくれます。(トップの写真は、実際のセッションの時のもの。ですから、みなさん「ホンモノ」です!)
このショーは、ブロードウェイではそんなに長くやるとは思えませんし(笑)このような「音楽のロマン」に興味のある方は、見ても損はないと思います。一人ひとりの俳優の力量も素晴らしいです。
プレスリー役のEddie Clendening、ぱっと見は「…」でしたが、歌声を聴いたらぶっ飛びました(笑)
Tony Awards 2010: Million Dollar Quartet