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And This Is Not Elf Land

The Vocalist Ⅲ, Mind Note



稲垣潤一7枚目のアルバム、87年春にリリース♪
ちょうど20年前になるんですね。

The Vocalist Ⅰ
The Vocalist Ⅱ, Self Portrait

1. Just the same…
2. 思い出のビーチクラブ
3. Memories
4. 時を越えて
5. トライアングル
6. 唇を動かさないで
7. だけど悲しくて
8. 僕は君の見方
9. エンドレス・ラブ

いかにも「全盛期の」アルバムです。
稲垣さんの音楽の魅力は、良い意味で「様々な人の手で作り上げられた」魅力だと思うのです。このアルバムは、それが良い形で実を結んでいます。

この頃は、バブルの真っ只中…そんな時代の雰囲気も、今、耳にすると懐かしいですね。この時代の私は決してバブルな日常ではなかったんですが(笑)、稲垣潤一さん自身、「バブルの申し子」のようなステキな音楽をヌケヌケと歌っていても、ご本人は不器用そうで、朴訥としていて、インタビューなどでは、自分のことを「俺」なんて呼んでいるのが…まぁ、なんとも…母性本能をくすぐられるというか…この辺りの「不一致具合」にコロリと参ってしまったんですよね~

Just the same…は秋元康・岸正之による曲。ボサノヴァっぽい軽快な出だしで、オープニングの曲にぴったり。コーラスアレンジもいいです。

僕の部屋の扉をパタンと閉めて、朝飛び出していった 元カノに
君は若くて強情っぱりなんだから、いつも誤解されるね

なんて、別れた後も気にかけてくれる男性って…ええ、いますとも!
それを信じないと、稲垣サウンドは楽しめない~

思い出のビーチクラブはこの年の紅白歌合戦で歌いましたから、覚えている人もいらっしゃるでしょう(いない?)これをきっかけに、独自の活躍をしたニューミュージック系の人が紅白に選ばれるようにもなりました。

懐かしいアメリカンポップス風味でいい曲ですよね。この曲は、船山基紀のアレンジもいいんですよ。曲に独特の「勢い」と「表情」を与える絶妙のアレンジだと思う。85年に大ヒットしたC-C-Bの「ロマンティックが止まらない」も船山氏のアレンジでした。あの曲も、イントロの方をよく覚えている…って人も少なくないのでは?とにかく、このビーチクラブも、あの特徴あるギターリフがあっての曲だと思っていますよ。

Memoriesはうって変わって、内省的な詩と(秋元氏ですが…)独特な浮遊感のあるMAYUMI氏の曲で、マニアックで面白い曲になっています。ライブでは、いろんなアレンジで遊びながら聴かせてくれた曲でしたね。

古い出窓のチャイナの椅子 とか
壁に吊るしたままのフラワー とか

時々カタカナ…ってのが、なんというか、時代を感じさせますね(笑)

時を越えては名バラードですね。これは生命保険会社のCMに使われていました。少女ランナーがゴールインする映像に

命の輝き あなたは持ち続けよ きっと時の河で 僕は守り続けたい

と流れました。ちょっと感動でしたね。この曲は、前の曲とはうって変わって、カタカナ語が一つも入らなくて、語彙の数も比較的少ない詩です。ライブで何度も聴きましたが、この曲に関しては、合格点をあげられるパフォーマンスは少なかったと思う。(あくまでも、私の採点♪)それだけ難曲だったのだろうし、また、聴く側の期待値も大きかったってことです。

トライアングルはとても好きな曲です。稲垣さんのアップテンポ系の曲の中では一番好きかも知れない…。崎谷健次郎さんの曲です。ちょっと風変わりでエキサイティングなメロディーを作る人ですね。

君は ふられたと 誤解して 彼女に冷たい

のあたり、カラオケで歌うと音程が大変なんですよ(笑)
でも、稲垣さんは、ライブでここの音程を外すことはなくて、ちょっと尊敬しました♪(ちょっと…かよ!)

唇を動かさないで、これも美しいバラードです。ライブでは、こちらの曲の方が、むしろ雰囲気がよかったかもしれません。稲垣さんのバックバンドTOPICSによるアレンジもいいんですよ~。この曲を聴く度に、稲垣さんが「絵に描いたような二枚目」じゃなくて良かった思います(笑)こういう曲を、歌の世界に浸りすぎて表現過剰に歌うんじゃなくて、頑固な職人さんのように、無表情に、偏屈そうに歌うのが最高だった!ま、私は「大」ファンだったから、常にそう受け止めていたのだけど、稲垣さんをどう思うか…ってことは、この辺りの感じ方次第だと思いますね。

だけど悲しくては稲垣さんの作詞作曲による曲です。ハッキリ言うと…歌詞が意味不明なんです(笑)。でも、全体的には、古くて新しい、心地よい曲に仕上がっています。

稲垣さんは、他人の曲を歌って成功した、あの時代にはユニークな存在でした。自作自演ができて一人前…みたいに思われていた時代でしたから。今もそうかな…インタビューの中などで、稲垣さんは「曲を書かない人」を思われるのに少し抵抗を感じていたように見受けられました。あの方は、ある面「危なっかしいほど正直な」人だったので、それは手に取るようにわかった。私は、パヴァロッティが曲を書かないからといって過小評価されることはないんだし(ちょっと、大袈裟な例えですか~…それなら、プレスリーやシナトラだって)稲垣さんは堂々と様々な作家の完成度の高い曲を歌ってくれればいい!!と心から願っていたんですけどね~。

当時のJポップ系の世界には、稲垣さんのように、叩き上げでのし上がってきた人って珍しかったし、他のアーティストたちは、マルチな才能を売りにしていた人も多かったし…そんな中で、稲垣さん独自のアイデンティティーを確立していくのは、それなりに大変だったんじゃないかなと思う。

僕は君の味方も船山基紀氏のアレンジが特徴的な曲。作曲は林哲司氏で、これまたポップスの王道のような安定したメロディーを聴かせてくれています。この曲はライブで聴いたことはあまりなかったんですが、今はどうなのかな?

エンドレスラブは安井かずみ氏、加藤和彦氏による、けだるくて退廃的な、独特の雰囲気を持った曲です。これは、稲垣さん以外の人が歌うと、全く別の顔を持ちそう。


Mind Noteは、稲垣潤一さんが最も勢いのあるときに、様々な人の感性がぶつかり合いながら作り上げられたアルバム。いわゆる「稲垣スタイル」が、ここで確立したって感じですね。

このアルバム…うん、私にとっては「とっても好き♪」っていうわけでもないんですよ。
欲を言えば(はいはい、欲を言えばキリがない~~)「安定しすぎている」
これは、堂々と人に勧められるアルバムではあるけれど「安定している」稲垣さんには、愛情が20パーセント減ぐらいになってしまう私なのでした…

次のEDGE OF TIMEの方が好きなのです。
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