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And This Is Not Elf Land

Welcome to Grover's Corners


OUR TOWNがオフ・ブロードウェーで開幕


昨年10月にシカゴで観たHypocriteプロダクションによるOUR TOWNが木曜にBarrow Street Theaterで開幕しました。監督と主演(舞台監督役)はデヴィッド・クロマー。俳優は、7割がNYの俳優だそうです。客席は150前後だそうですから、シカゴで観たものと同じ規模での上演のようです。

公開されている写真を見ると(トップ)懐かしい~、黄色いライティングパッド!そうそう、この舞台監督役のトレードマークみたいもんでした。

この話は、20世紀初め、ニューハンプシャー州の架空の町グロヴァーズ・コーナーズを舞台にしたもので、淡々とした日常の描写を通して生と死、日常と普遍を考えさせます。舞台監督は、そのつど視点を変えながら、観客と演者の間を行き来します。

この劇の中には、客と舞台監督とのやり取りする場面があります。(客がグロヴァーズ・コーナーの現実について質問する)従来は、ここは客席に役者が入っていて、決められた台詞を口にするようですが(先日シカゴで観たものも、そうだった)この演出では、舞台監督が客席を歩きながら、絶妙のタイミングで、台詞(質問事項)を書いたメモを手渡すのです。これ…自分が当たったらどうしよう!!…とヒヤヒヤしたのは言うまでもありませんが(笑)

ここに出てくるグロヴァーズ・コーナーズの住民たちは、町の墓地に行けば、最初に入植した係累の墓がある人たちです。川の向こうにポーランド人移民たちの町ができ始めており、彼らのことも劇中に出てきますが、まだ彼らに「名前」はありません。保安官はひたすら治安の悪化を心配しています。町の教会で歌唱指導をしているのは、音楽の才能がありながらもアルコールに溺れている男性なのですが、彼のことは「あまり関わり合いにならないのが一番」とご婦人たちは噂しています。(3幕で彼が悲惨な最期を遂げたことが明らかになる)客の中に「社会の不平等に関心のある住民はいますか?」と質問する人がいますが、そのような類の質問は、舞台監督が軽く受け流します。

この作品が最初に上演された1938年当時も、社会の現実を正確に伝えていない…と、その世界観を批判する批評家もいました。

それでも、今なお「一番上演回数が多い作品」であり続けています。



この原作は早川演劇文庫からも出ていますし、NYへ行って、オフ・ブロードウェー体験をしてみたい…と思っていらっしゃる人にはお勧めです。作品自体、とても取っ付きやすい。

「参加」させられるかも知れませんけどね(笑)
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