ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

これはまた大変だと思う話(ヤングケアラーほかの件)

2022-09-20 00:00:00 | 社会時評

先日次のような記事を読みました。

家族の世話をしていること、誰にも話せない 「消えたい」中学生が見つけた解決の糸口 #今つらいあなたへ

内容については記事を読んでいただければいいとして、私が「どうもなあ」と思ったくだりを。

>A君の母親は、A君が小学校高学年の頃から精神状態が不安定になりました。周囲の人に対して疑り深くなり、泣いたり怒ったりするため入院をしましたが、薬を飲むことで症状は良くなりつつあったそうです。しかし担当医が高圧的だとして治療の途中で退院し、その後はどこにも通院していないとのことでした。父親は何度か通院を勧めましたが、強く拒否されただけではなく「私が嫌だと言っているのにそんなに勧めてくるなんて何か裏があるはずだ」と母親から攻撃されたため、すっかりあきらめて腫れ物に触るような対応をするようになったそうです。

病識がない、あるいはそれが不十分で、通院治療を自分でやめてしまい、さらに精神疾患が進む、あるいは改善しないという話はよくききます。私が以前読んでおったまげた記事があります。さしさわりがあるので、当事者の方のお名前ほかは不記載ということでご了承願います。

どうもねえ(2)

つまりは非常識な行動ばかりして、かなりひどい妄想状態にある男性(たぶん統合失調症か何かの精神疾患に罹患している)が、こう堂々と書き記しているわけです。

>私自身、よくこんな状態で発狂もせずに生き続けているなと思います。

>不思議なことに自殺する気が起こらず発狂もしていきません。

「発狂」という言葉が妥当かどうかはともかく、冗談で書いているのでなければここでこの書き手の人が書いていることはどう考えても何らかの精神疾患の影響があると私は考えますが、どうもご当人そうは考えていないわけです。それにしてもご当人の書いていることも支離滅裂で、この続きには、次のようにあります。

>近畿大学教授時代にハラスがひどかったわけですが、一年間の休職期間中に近大医学部人見教授に一年間診療していただきました。先生は近大医学部の精神科の主任教授です。

つまり自分でも、自分が精神科に通院していたということを認めているわけです。だったらやっぱり精神に何らかの問題があるということではないかと思いますが、ご当人の解釈ではそういうことでもないのでしょう。で、これも理由はわかりませんが、どうもその通院も自分の考えでやめてしまったらしい。「自分には通院の必要はない」と考えたのかどうかは不明ですが、どっちにしたってこれでは治癒もしくは病状が改善なんかするわけがない。で、当時この人は娘さんと同居していました。それで

>⑤娘と私は2009年2月7日日本に向けて出発し、日本の田舎に永住することを決意。
さまざまな意味で現実との接点に執着する限りシステムはそこにリンチを浴びせてくる。自殺はできないが奥地でくらすことにより接点を極小化し打撃を最小化する。この際、一番辛い決断として娘が日本の小学校で再びリンチを受けた場合、その後の通学や進学を断念する決断をほぼ固めた。異常かつ最も辛い決断であるが、これを乗り越えない限り娘へのリンチという形でシステムの攻撃が継続することを予測するからである。娘の進学断念の覚悟こそ現時点での最も高度な決断と考えた。親子ともども外に出る度に携帯攻撃ほか、敵に囲まれ、気分転換の余興のようにリンチを浴びせられる。コンプレックスの裏返しとして私たちへのリンチを楽しむ人々がいる。こういう状態を親子が忍耐し続けることはひたすらマイナスであり、娘はもう耐え切れない状況だと痛恨の思いで決断した。

とまで書いていましたので、非常に私は心配しました。幸いお子さんが学校に行かないという事態は避けられたようですが、どう見てもこの時点ではこの人に養育能力があるとは思えません。

それで、その関係ですが、上の紹介記事でのこちらのくだりはどうか。

>そうこうしているうちに、母親の具合は段々悪くなっていきました。仕事に行った父親の携帯に何度も電話をして、電話が繋がらないと「会社に行っていないのではないか」と直接職場に確かめに行くようになりました。父親は「仕事が手につかない。会社をクビになるかもしれないな」とA君に漏らしたそうです。A君は父親が仕事をクビにならないように何とかして母親を落ち着かせなければと考えるようになりました。

A君は「母親の病気のことは一切外で話さないように」と父親から言われていたため、誰かに相談するという考えはまったく頭に浮かびませんでした。父親は母親が病気になってからは親戚付き合いもやめてしまったため、身近に頼れる人もいませんでした。

「最初は親のために学校を休んでいたけれど、だんだん学校に行きたくなくなってきた」

A君は父親が仕事に行っている間、母親の相手をするために遅刻や早退を繰り返すようになりました。そして母親の代わりに食事作りや洗濯などの家事を行っていましたが、次第に学校を欠席することが多くなっていきました。

「最初は親のために学校を休んでいたけれど、だんだん学校に行きたくなくなってきた。誰にも母親のことは話せないから取り繕っていないとならない。友達とは生きている世界が違うから、学校に行くとかえって辛くなってしまって……」とA君は語りました。

父親は初めのうちは「学校はどうした?」とA君に尋ねていましたが、「学校はつまらないし勉強は家でできるから」とA君が答えているうちに、「Aがそう言うなら」と学校の話をしなくなり、家事や母親の相手を全面的にA君に任せるようになったそうです。

母親はA君が家に居て自分の相手をしていることで精神的に落ち着きを取り戻していったように見えたそうです。父親は嬉しそうな様子で「Aのおかげで仕事を辞めなくて済むよ」とA君に伝えました。

その後医者から子どもの思いを聞かされた父親は、

>私は父親に、A君の今の「消えたい」という訴えの背景には、病気の母親の世話をはじめとした家庭内の問題が関係しているであろうことを伝えました。

父親は「Aが家に居て母親の世話をしてくれると私は仕事に行けるし、母親もそれなりに落ち着いていたので……もともと強い子だから、Aなら大丈夫だろうと思ってあまり深く考えていなかった。そこまで追い詰められているとは気づかなかった」と涙を浮かべました。

ということになったそうです。

しかしこれ読んで私正直この父親を「ひどい親だ」と思いました。これ完全な子どもへのネグレクト、虐待でしょ。いくらなんだって、

>父親は初めのうちは「学校はどうした?」とA君に尋ねていましたが、「学校はつまらないし勉強は家でできるから」とA君が答えているうちに、「Aがそう言うなら」と学校の話をしなくなり、家事や母親の相手を全面的にA君に任せるようになったそうです。

母親はA君が家に居て自分の相手をしていることで精神的に落ち着きを取り戻していったように見えたそうです。父親は嬉しそうな様子で「Aのおかげで仕事を辞めなくて済むよ」とA君に伝えました。

>Aが家に居て母親の世話をしてくれると私は仕事に行けるし、母親もそれなりに落ち着いていたので……もともと強い子だから、Aなら大丈夫だろうと思ってあまり深く考えていなかった。

って、つまりは嫌なことを全部子どもに押し付けているだけじゃないですか(呆れ)。で、世の中のヤングケアラーの問題というのも、よろしくない事態になったケースを観ていると、やはり特定の人物に過度にさまざまなことを押し付けたという側面があります。これはかなり話題になった事件ですが、2020年に起きた神戸での介護殺人事件はどうか。

仕事と介護で睡眠2時間 相次ぐ暴言、徘徊を我慢 祖母殺害へ至る過酷な日々

> 短大を卒業後、2019年春からは夢だった幼稚園教諭として働き始める。同時期、1人暮らしだった祖母の認知症が悪化した。

 「叔母さんは子どもがいる。家庭がある。父は病気。伯父さんは忙しい。昔からお世話になっていたし、私しかいない」。当時の被告はそう考えた。

 19年5月に同居を始めた。祖母は平日昼間はデイサービスに通い、平日の夕食の用意や通院の付き添いは叔母が担っていたという。平日夜と週末の介護は被告が1人でこなした。

 帰宅後、慣れない仕事で持ち帰った作業をしながら介護に追われる。祖母は認知症の影響で「お金を取ったやろ」「泥棒」と暴れることも。トイレの介助は約1時間おき。徘徊(はいかい)に付いて、1時間ほど歩いたこともあった。

 「想像以上に大変だった。睡眠は1日に2時間程度。寝ているのか、起きているのか、分からない状態だった」と被告。叔母に相談したが「認知症やから」などと返された。叔母は高齢者施設の入所に否定的だったといい、被告は「我慢するしかないのかなと思った」と振り返った。

執行猶予付き有罪判決を下した裁判長は、

>当時21歳で社会経験に乏しかったことなどに照らせば、被告人が介護負担軽減策をとることは実際上困難だったと考えられる

と指摘しています。これは、私が先日書いた記事同様、この女性が逃げちゃえばそれまで程度の事件でしたが、これもやっぱり「昔世話になったろ」とかいう殺し文句で、めちゃくちゃな介護を押し付けられたとしか言いようがないですね。こんなのとても仕事と両立できるような状況じゃないでしょう。

家を出れば解決する程度のことで家族3人殺害にいたったのは、本人のみならず肉親ほかにとっても痛恨の極みだ(宮崎家族3人殺害事件)

そして一応は社会人であるこの女性より、中学生であるこの子どもはさらに立場が悪いですからね。けっきょく嫌なことを全部押し付けられて、それを拒否する術すらないということになります。だいたい中学生に関しては、学校に行かなくなったという時点で、あまりに事態が重大であるということになりますが、この時点では父親としては、もはや完全に子どもに依存していたということになりそうです。学校側も、さすがに事態を重視しなかったのかとかいろいろ不審に感じる部分もありますが、子どもへの人権侵害があまりにひどすぎる。

正直介護なんて、児童・学生、あるいはフルタイムで働いている人間の手におえる代物ではないので、するのであれば、いろいろな人間の協力、行政ほかの支援が必要ですが、そういったことすらろくにされない。神戸の事件では、殺害した女性が

>事件が起きたのは19年10月8日。前夜、被告は自殺未遂を起こしている。

 「明日からまた介護と仕事なのか、と思って」

という状況にまでなっているわけで、逃げることすらできずに、自殺未遂、殺人という最悪の結末になってしまったわけです。自殺が既遂になったらこれまたひどい話で、ほんと救いがありません。なおこの件については、過去にもこのブログで記事を書いています。

けっきょく断れない立場の人間(主に女性)が介護を押し付けられる

上の親もねえ、もしこの通りなら、子どもが学校に行かなくなった時点で、これは最高レベルにまずいと考えてそれを何とかしなければいけませんが、おそらくこの父親にとっては、子どもが学校に行かなくなったのは、「渡りに船」だったんじゃなかったんですかね。ほんと無責任な親です(呆れ)。そう評したら厳しすぎるでしょうか。そうは私は思いませんね。


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