杉山城跡は戦国時代の山城跡であり、街道を見下ろす丘陵の尾根上におよそ10の郭を配置した造りとなっています。土塁と空堀とで仕切られた
郭を山の高低差を利用しながら巧みに配置して、少人数で立てこもり、多数の敵を迎え撃つための実践に備えた要塞です。
各郭は横堀や帯郭が囲み塁線には折連続しています。木橋や土橋を用いた様々な形態の郭の出入り口には侵入方向に対して真横からも矢を射かけ
て防御する横矢掛かりを施し、大切な井戸の上方からこれを防御する井戸郭などが配置されています。実際歩いてみると下からは全体を見ること
や一気に駆け上がることは難しく、裏側は急斜面になっていて裏から攻めることも難しそうなまさしく防御力が高い造りになっているのがわかり
ます。一方で城主や築城年代については記録がなく不明でしたが発掘調査で15世紀後半頃に山内上杉氏が扇谷上杉氏に対抗して築城したものと
考えられています。杉山城跡はその高い築城技術により「築城の教科書」と呼ばれ、続日本100名城にも選ばれています。
また、大きな石で塞いだ今も年間通して水が渇れることがないという井戸跡なども見どころです。
杉山城跡 比企郡嵐山町杉山605