「社会福祉士」の独り言Ⅱ-日々の雑感

福祉に関わる事柄の他、日々感じたことを書き綴っていきます。

『神の火』 高村薫著 新潮文庫

2017-02-22 04:48:25 | 読書
高村薫の小説で読んだのは『マークスの山』だけで、あとは、発言や評価に新聞記事で時おり触れるだけだった。原発に関わるテーマということで、手に取ったが、一気に読んでしまった。『神の火』は、言い換えれば「プロメティウスの火」のこと。原子力発電所の技術者であった島田は、ソ連へその極秘情報を流していた。しかし、この人生を離れ、外書の小さな輸入会社に転職した。そうしたのもつかの間、新たに建設中の発電所のオペレーションプログラムに仕組まれたテロ情報をきっかけに、彼を取り巻く人間を巻き込みながら、発電所襲撃計画、実行へと突き進んでいく。それにしても、3.11以降、まがりなりにも、ウクライナ等の汚染マップ、原子力発電所の構造、過酷事故のことなど知ることになるのだが、それ以前であれは、受け取り方が、全然違うものになっていただろう。発行が1991年だから20年以上前のことだ。それにしても後半に向かう銃火器や、潜伏の描き方は、女性とは思えない文だ。


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