「社会福祉士」の独り言Ⅱ-日々の雑感

福祉に関わる事柄の他、日々感じたことを書き綴っていきます。

『死都日本』 石黒耀著 講談社文庫 2008.11

2016-12-19 21:41:46 | 読書
2011年1月宮崎県の霧島連山の新燃岳が突然噴火した際、2002年に出されたこの小説が話題になった。霧島火山のマグマの異常な上昇で、破局的噴火を予知、最悪なシナリオで危機管理に臨む政府のプロジェクトに参加することになった大学で防災工学を説く黒木。しかし、予想以上に、噴火が早まり、火砕流が、鹿児島、宮崎を飲み込んでいく。黒木と若き新聞記者の岩切は、この未曾有の火山災害の真っ只中から脱出できるか。トヨタのカリブが登場するが、20年以上前、吾妻小富士が見える林道を知人のカリブで乗せてもらい走ったことがあるが、その時のことを思い出しながら臨場感をもって読み進めた。火山灰は、微粒子で、エンジン、機械類を故障させてしまう。その流れが、次第に、関西、さらに関東まで届こうとするとき、駿河湾の地震計に異常震幅が出る。東海、東南海地震の兆候があらわれたのだ。日本はまさに死都へと化していく。この作品は、宮沢賢治文学賞を受けているが、地学小説という評価。描き方が、日本の神話、伝説を関わらせながら、広く多くの人に理解、関心を持たせるものになっていたからだそうだ。文中、地学的イベントがある時は、人間も、踊狂現象があるという説は、初めて聞いたが興味深かった.


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