評価3
再読(前回2019年12月30日)。
公務員だった父が公金横領で失踪後に母を亡くした高校生の日下守は伯父の家で暮らしていた。タクシー運転手だった伯父が突然道路に飛び出して来た女性をひき殺してしまい、伯父の窮地を救おうと考えた守がいろいろ調べ始めると他の女性が死亡した2つの事件とのつながりが見えてくるのだった。そのつながりとは金に目がくらんだ女性たちが男を食い物にする仕組みにあった。
自殺、いじめ、サブリミナル広告、催眠術、疑似恋愛、悪徳商法などなど、様々な社会現象を巻き込みながら怒涛の如く展開するストーリーはさすが!
ただ・・・
登場人物たちに一つのキーワードを与える催眠術が物語の重要なポイントを握っているのだが、その辺の状況説明が薄い感じがして十分納得できるものでなかったことが残念。特に、従姉の真紀が守に向かって突然「坊や、私は橋本信彦に電話をかけた。それで彼は死んだのだよ」と言い始めた(文庫本265頁)のには驚いた!