評価4
再読(前回2019年2月23日)。
山本周五郎賞受賞作品。
サラ金業者などから追い詰められた多重債務者の娘(新城喬子)が、自己破産した女性(関根章子)に成りすましていること知った刑事(本間)が喬子の行方を追うがいっこうに辿り着くことができない。宇都宮、川口、名古屋、大阪、伊勢と数々の手掛かりを残している喬子を本間が捕らえそうになるのだが・・・
章子と喬子の生い立ちが語られつつ、なりすましのテクニックが徐々に明らかにされるにつれて頁をめくるスピードが加速して止まらない!謎が謎を呼び、先を読まずにいられない!
そして、ようやく喬子が本間の前に現れたところでラスト。
巻末解説の佐高信が「推理小説であり経済小説」と評するカード社会の闇をえぐった作品。多少、前時代の感はぬぐえないものの、背景描写・人物描写は迫力満点。さすがの宮部みゆき!