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疑惑ー松本清張

2024年11月18日 | 読書


評価4

再読(前回:2017年5月13日)
「疑惑」と「不運な名前」の2作品収録。

・疑惑
北陸のある町で資産家の男性と妻が車もろとも海へ転落し、妻は助かって男性が死亡した事件が起きた。女性は男性の後添えでホステス上がりの前科持ちで、男性に多額の保険金が掛けられていたこともあり警察は状況証拠から女性を犯人と断定し裁判に持ち込んだ。最初に事件を受け持った弁護士が病で倒れた後を受けた国選弁護人が被告の女性「鬼熊こと鬼塚球磨子」の無罪を主張し証拠固めに奔走する。

派手な立ち回りと境遇の被告に比して、田舎町の地味な国選弁護人がコツコツと証拠を集める姿が対照的。ラストに衝撃!

・不運な名前
明治時代に開設された北海道月形町の樺戸集治監(監獄)に長く収監されて獄死した「熊坂長安」とその長安が犯人とされた藤田組偽札事件にまつわる話。「不運な名前」という題は室町時代の大盗賊「熊坂長範」と名前が似ていることからつけられたもの。

藤田組偽札事件という史実に焦点を当て、当時の偽札づくりに切り込んだ丁寧な描き方は松本清張ならでは!・・・な、のですが、真札と贋札の描写があまりにも細かすぎて正直わかりにくい。図解があればなぁと思った。

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