
評価4
再読(前回2022年10月28日)。
まるで小川洋子自身であるかのような主人公が登場して、その小説家が様々な出来事を語る連作短編集。それぞれの短編に小川作品に登場した人物などが登場し小川ファンにとっては興味深い物語となっている。各々関連する事項をあげておきました。
①失踪者たちの王国
その小説家は大学病院に勤めている⇒小川さんは大学卒業後、少しの間、岡山の病院に勤めていた。
②盗作
作中小説の「バックストローク」⇒2001年小川作品「まぶた」に収録されている。
③キリコさんの失敗
作中の万年筆のイニシャルY・H⇒小川さんの本名は本郷洋子
作中の母が誤って万年筆を焼却炉でに入れてしまう⇒アンネの日記の逸話
④エーデルワイス
本をポケットに入れている男⇒2015年作品「琥珀のまたたき」のよろずやジョー
話が1996年作品「ホテル・アイリス」とだぶる。
⑤涙腺水晶結石症
登場する愛犬アポロ⇒小川さんの愛犬ラブを彷彿とさせる
⑥蘇生
アナスタシアと名乗るお婆さん⇒2002年作品「貴婦人Aの蘇生」
言葉が話せない・出ない主人公⇒1994年作品「密やかな結晶」