評価5
「山椒大夫」「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」「佐橋甚五郎」「魚玄機」「じいさんばあさん」「最後の一句」「高瀬舟」「高瀬舟縁起」「寒山拾得」「寒山拾得縁起」を収録。
「魚玄機」と「寒山拾得」は唐にまつわる話で人物や時代背景がわかりずらいので読み飛ばし。どれも良かったが、私的には「最後の一句」が良かった。父親の処刑嘆願へ出向いた少女の残した一言がざっくりと胸に響く作品。
「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」「佐橋甚五郎」は史実を追った短編歴史小説。
読み応え十分。
誰もが知っているであろう「山椒大夫」。
実はちゃんと読んだのはこれが初めて、なんとも悲しい物語。
「高瀬舟」は明治時代の文豪が安楽死(尊厳死)を取り上げた画期的な作品。
陸軍軍医でもあった鴎外の面目躍如といったところだろう。
そして、もう一つのテーマ「足るを知ること」。
まさに人生への深い問いかけである・・・
鴎外、実に奥が深い(深すぎる)。