評価4
再読(前回2017年5月6日)
作家の宮本輝が北日本新聞社の記者2名、秘書、二男とともに、中国の西安からパキスタンのイスラマバードまでの40日間6700㌔の旅を綴った紀行エッセイ全6巻。それは、また、鳩摩羅什(くまらじゅう)の足跡を追う旅でもあった。
羅什は、350年ごろにシルクロードの要衝・亀慈国(現在の中国新疆ウイグル自治区・クチャ)に国王の妹の子として生まれ、7歳で出家し、9歳の時に母とともに天竺へ留学の旅に出たあと、小乗仏教にたちまち通達し、やがて大乗仏教に出会い、そのサンスクリット語の膨大な経典の漢語訳を生涯の使命と決めた人物である。
第1巻は西安から武威まで。
1995年の中国を描写したエッセイなので、現在の中国と国情が全く異なっているとは思うが、発展前夜の中国の有様がわかって面白い。食べ物と衛生状態に辟易しながらも作家ならでは深い洞察力とたまに飛び出すヤクザな言動が旅の辛さと楽しさを伝えてくれる。
全6巻中、4巻までしか読んでいなかったが、5巻目と6巻目が揃ったので7年ぶりに1巻目から読み直し。
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