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ギリシア人の物語1(民主政のはじまり)ー塩野七生

2024年08月04日 | 読書



評価5

「ローマ人の物語」の作者、塩野七生さんが贈るローマ前の古代ギリシアの物語。
プルターク英雄伝を夢中になって読んだ子ども時代を持ち、「ローマ人の物語」でローマ世界に酔いしれた私としてはなんとしても読まねばならぬ本だったが、なかなかタイミングが合わずようやく文庫本4巻が手元に揃ったのでいざギリシア世界へゴー!

都市国家(ポリス)が乱立するギリシアの中でもやっぱりアテネとスパルタが双璧であったらしいが、そんなギリシアにもローマ時代同様、東の大国が押し寄せて来るのであった。ギリシア時代の敵はダリウスとクセルクセスが率いるペルシア。しかし、ギリシア都市国家連合軍は第一次ペルシア戦役のマラトンの会戦(紀元前490年)、第二次ペルシア戦役の「海戦が戦争全体の行方を決した歴史上最初の例」とされるサラミスの海戦(紀元前480年秋)とプラタイアの戦闘で圧勝して、大国ペルシアを退けたのだった。その後、紀元前477年にアテネを中心としたデロス同盟が誕生し、30年後の紀元前5世紀半ばには最盛期をむかえる。

私が読んだプルターク英雄伝でも印象に残っている箇所だけに、興味を惹かれたのは陶片追放のくだり。著者の推測によれば、アテネの有権者総数4万人のうち投票者総数は6千人強なので、決議に必要な過半数は3千人強に過ぎなかったらしい。なんと有権者数のわずか7.5%の意思表示で十年間の政治活動停止という処遇が決まっていたというのである。これには驚くしかない!で、有名な、字を書けない有権者が陶片追放の投票対象になっているアリステイデスにそれとは知らずに、「アリステイデスと名を刻んで欲しい」と頼む逸話も健在。いや~懐かしかった♪

ちょっとローマ時代と比べてダイナミズムには欠けるが、ローマ帝国の前に通過しなければならない歴史なだけに静かに着実に読み進めよう!



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