翌朝7時過ぎ、看護師がやって来て、体重測定、体温測定、血圧測定、心電図、そして採血を行う。少し血圧が下がっているように思われる。数値としては上150程度であった。
一般的は高い数値との判断なのだろうが、自分は元々の血圧が高いことと、日本で推奨される血圧値が低すぎると思っていたので、なかなかいい数値だと内心では思っていた。なんせ昨日は180〜200超えで推移していたし。
そこに医者がやってくる。大した話はしていない。退院までの間で、そもそもいつも医者がベッドサイドに来たとき、5分と話していないと思う。言われたことに、質問はあるけれども、とりあえず大人しく言われた通りにしようと決めていたからである。
この時は、やはり尿の出が悪いことを気にかけていたし、「どうもおかしい」とつぶやいていた。「取り合えず様子を見ることにしましょう」とのこと。それでどこかに行ってしまった。
8時に食事。少しずつ味にも慣れて来た。歯を磨くと、尿意がする。今までとは違う感覚であった。ここから1時間半ごとに尿が出るようになる。「おしっこがしたい」という感覚が生じて、すぐにその感覚が高じる。ちょっとした我慢もできないぐらいだ。そこでし瓶にして、看護師に報告。ついに薬効で尿の出が推進?されて来たようだった。なぜか看護師も喜ぶ。「Drに報告しておきます」と笑顔である。ちょうど妻がやってくる頃であった。ちなみに胸部レントゲンもした。
やっぱり妻がやってくると嬉しい。妻に「おしっこも出て来たかも」と伝える。ここからは新しい難題が生じる。し瓶におしっこすることである。個室とはいえ、いつもドアが半分ぐらい空いている。おしっこする時、開けっ放しは流石に恥ずかしい。と同時に、尿意を感じてから、おしっこが出るまでの時間が短い。薬のせいだろうが、我慢することができない。妻にドアを閉めてもらうことはできても、見計らってできるかというと、自信がない。
ここからは妻との連携だ。ただ私の心の中での。
尿意がする。妻にドアを閉めるようにお願いする。妻がドアの方に歩くのに合わせながらベッドサイドに座り、ドアが閉まったことを確認して、パジャマとパンツを下げる。ひざ下まで下げる。
そうしないと、濡れる可能性大。
そして、し瓶の先に××××を入れる。なんか虚しいがおかしい。放尿。勢いはまだまだ。すっきり。横で妻が見ている。妻が「トトイ」と言う。「トトイ」というのは中国語で「滴を切れ」程度の意味だ。妻であろうが、恥ずかしいし、何が「トトイ」だ。
しかしながら、連携は確立する。妻が帰ってからが今後の課題となるわけだが、看護師に事情を話したら、消灯後はドアのところにパーテーションを置いておこうとのお話。し瓶はベッドサイドにし瓶用のホルダーが設置され、自力でできる。とりあえず、「おしっこ近い問題」は結構クリアできた。
(つづく)