日本ではコロナの被害が小さかったと言われる。そこで、日本人が普段も手を洗う、マスクをする、距離をとった礼儀作法である、などと日本人の生活習慣が優れているという理由が挙げられている。
日本人の真面目さや清潔さが成功要因だとして、すぐにナショナリズムに接合する人たちがいるようだ。
バッカみたい。
アジアでは欧米と比較して軒並み感染者数や死亡者数が少ない。日本人優秀論をどうやって説明するのだろう。これだけで日本人優秀論ではなくてアジア人優秀論になってしまうだろう。
ちなみに日本の状況はアジアではかなり悪い状況である。詳しい数値は適当にググって欲しいが、アジアでは日本の成績が悪いのだから、日本人劣等論が出てもいいはずである。
欧米メディアも「日本は不思議な国」とでも評価されるので、神風が吹いているかのようで、誰だったか忘れたけれど、「日本モデル」などと自ら賞賛しているものもあった。結局日本には神様がついているということなんだろう。誰だったか忘れたけれど、日本は「神の国」とか言っていたえらい人がいたけれど、その精神性は共通している。
少なくとも日本人の習慣が原因という説はあくまで仮説の域を出ない。これから実証しなければならないが、現時点で信じるとすれば、近代科学以前の認識論だから、それを信じるとすれば、呪術(魔術)みたいなものだ。ファクターXも皆同じ。
僕たちは何か原因を求める性向を有している。わからないとうことは不安を作ったりするだけではなく、原因をつくりだそうとする。科学的にではなくても、原因を想定したいのだ。これは人間の宿命的性質なのだと思う。
それがさらなる誤りを作る。仮に日本人優秀論に縛られれば、真の原因をつかむことから遠ざかる。真っ当な対策からも遠ざかる。
そもそも真の原因がわかるかどうか、それすらわからないのだから。ゆえにわからないことをわからないと自覚すること、その上でわかることとわからなことを区別すること。さらに科学には限界があること、このこと自体が忘れられている。
運がいいだけだよ。でも、亡くなった人がいるんですよ。そして、悲しむ家族がいるんです。