小児科医の家の呼び鈴を鳴らすと、下りて来てくれたのは、診察中のジャッキーに代わり、奥さんのニコルだった。
大きなスーツケースを見て、「それはジャッキーに(上にあげてもらおう)ね」と言ったが、一番大きいのは上まで上げる必要もないと伝えた。
以前は、サロンから廊下を歩き、トイレや洗面所のある方の部屋(二部屋)を使わせてもらった。
孫の面倒を見るときに便利なのでと、最近は彼らがその二部屋を使っているようで、今回はサロンの奥にあるリビングの方にある(やはりこれもメゾネットなのか)、階段を上がったところ(3階)の部屋に案内された。トイレは2階の共同なので下に降りる必要があるが、小さな部屋ながらバスタブや洗面台もあるし、シャワーや洗面には便利だ。
ここで、とりあえず4泊はさせてもらえそうだ。
本当にありがたいことだ。
食堂の下には小児科医の趣味である絵画のアトリエがあり、そこから仕事部屋(小児科の診察室)へと続いているようだった。
ニコルに今までの経緯や南仏での話をし、ジャッキーの仕事が終わるのを待っていた。
昼休みになり、ジャッキーがやってきた。
美味しいスープとサラダを用意して待っていてくれた。メインもあったが、この日は写真を撮るのを失念していた。
二人は健康のため、お昼はしっかり食べ、夜は簡単なもので済ませるそうである。
ジャッキーも話をすると変わりなく歓迎してくれていることがわかり、嬉しかった。
ランチのあと、ニコルがクリシーの町を散策しようと連れ出してくれた。
以前と同じところもあったが、未訪の公園なども訪れた。
夕方は結構寒くなってきたが、よく歩いた。
そして家に戻る途中のスーパーで買い物をするのにも同行した。
夕食時、ジャッキーは、「シンプルなのは再度PCR検査をして、陰性証明で帰国に備えることだ」と言う。もちろんそうだが、万一陰性の反応が出なかった場合の話をすると、もう罹患してからずいぶん経っているから心配ないと言う。
一抹の不安はあったが、一晩考えて、それが最短で帰国できるので、賭けてみようと思いだした。温かく迎えられ、気持ちも前向きになってきたということだ。
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