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【歴代政権】閣議決定とはそもそも何か?――その濫用は「法の支配」を蔑ろにし「人の支配」を生む(高安健将さんインタビュー)

2025-02-19 18:01:48 | 未分類

【歴代政権】閣議決定とはそもそも何か?――その濫用は「法の支配」を蔑ろにし「人の支配」を生む(高安健将さんインタビュー)

- Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)

 

――安倍元首相の「国葬」が閣議決定で決められ、進められようとしているわけですが、そもそも閣議決定とはどういうものなのでしょうか?

閣議決定というのは、文字どおり「閣議による決定」を意味するんですね。憲法65条で、「行政権は、内閣に属する」となっています。閣議というのは内閣法第4条に「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする」というふうに出てきます。つまり閣議決定というのは、「行政権を持つ内閣の決定」ということになります。日本は議院内閣制という仕組みをとっていますが、国会、特に衆議院の信任を得ている内閣が政府を率いています。

日本の政府というのは「集団指導体制」を基本としています。首相はあくまでも内閣という委員会の議長――憲法の言葉で言えば、「首長」ということになります。そして、なぜそうした制度を用いているのかというと、ひとつには「議論によって、より良い決定に至るため」なんですね。

そしてもうひとつは、トップリーダー、日本の場合には「首相」になりますが、「首相の独走を阻止するため」に、こうした「集団指導体制」を用いているわけです。内閣は、憲法66条により、「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」ということになっています。つまり内閣は、議会によって監視されており、特に衆議院からは、「不信任制度」で首にもされえます。

ですので閣議決定というのは、「衆議院の信任を受ける指導者たちの集まりが、合議で決定に至った結果」ということになります。これにどのような意味があるのかということを説明するうえで、ひとつ例を示したいと思います。

かつて中曽根内閣時代に、イラン・イラク戦争というものがありました。当時、アメリカの要請もあり、自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣してほしいということが言われていたんですね。それに乗り気だった中曽根首相は、その派遣を閣議決定しようと動いていたのですが、当時の官房長官であった後藤田正晴氏が、「もし自衛隊を海外に派遣しようとするのであれば、自分は閣議決定にはサインしない」と大反対したんですね。後藤田氏は自らの首をかけてこの閣議決定に抗い、結果閣議決定は見送られました。閣議というのは、内閣のメンバーである国務大臣(閣僚)の全会一致が原則のため、全員が賛成しないと閣議決定に至らないという側面があるんですね。

こうした仕組みには賛否も色々ありますが、内閣の多数派が暴走したり、あるいは首相が独走したりする危険性を阻止する機能もあります。そのような事態となった場合、首相は諦めるか、代替案を作成する、あるいは閣僚を罷免するしかありません。小泉内閣時代には、郵政解散に反対した島村宜伸農相が閣議で署名も辞任も拒み、首相に罷免されています。

このように、閣議決定というのは政府内における最高の意思決定であり、その政府全体に貫徹されるべき決定・方針・合意事項ということになります。ただ、それはあくまで政府内の決定であり、法律ではありませんし、国会を縛るものでもありません。

むしろ、当然のことなのですが、憲法や法律の範囲内で行わなければならないものです。ただ、首相が議会の与党・政権党をがっしり押さえている状況で、内閣のメンバーも首相の顔色を伺う方々ばかりだと、リーダーの暴走に対する制御がうまく効かないということも起こりえます。

近年では、首相、あるいは官房長官の意向が強く反映される閣議決定が相次いでいることで、批判や揶揄の対象となっていますが、本来の閣議決定というものは、「政府を縛る」非常に大事な決定ということなんですね。

――本来は権力を縛る役割を持つ閣議決定ですが、近年を振り返ってみると、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更など、非常に重大な決定が閣議決定により行われてきました。この点についてはどのようにお考えでしょうか?

集団的自衛権というのは、政府も国会もこれまで「憲法違反なので憲法改正をしない限り認められない」ということを明確にしてきたものです。それも“解釈”ではあるので、その“解釈”を変更すればよいという意見もありますが、国会の決議を尊重せずに、閣議決定だけで一方的に解釈変更していいということにはなりません。

1981年5月29日(内閣衆質九四第三二号)
衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書

こうしたことを強行するとなると、国会の意思と政府が従うべき閣議決定の内容が「ずれる期間」が生じてしまいます。なので2015年、政府は「安全保障法制」をかなり強引に国会を通す必要があったわけです。けれどそれは「憲法問題」でもあり、その変更には国民的な合意が必要なことだったのではないでしょうか。

それまでの集団的自衛権に関する解釈というものは、軍国主義に傾き国を滅ぼすところまでいった戦前の経験を踏まえて、戦後日本が国民と周辺国になした「ある種の約束」「信頼醸成措置」に基くものなんですね。その解釈の変更というのは、安全保障政策の根幹を変更することになります。もしこれを変更するのであれば、「何が変更されて」「なぜそれが必要で」「それによって何をしようとしているのか」、そしてそこには「どんなリスクがあるのか」「何が失われるのか」――そうした可能性について説明し、国内でしっかりとした了承をとる……つまり憲法改正手続きを経るべき案件だったのだと思います。

「あの解釈変更決議は何だったんだろう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、これまで認められなかったような安全保障上の施策というものが、すでに様々な形で進められています。今でもやはり、憲法改正手続きなしに進めて良いものではなかったと思いますね。

国会の決議を軽んじる閣議決定はこの社会をどのように変質させてしまうのだろうか。

 

「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」発言録

 

集団的自衛権行使容認閣議決定後10年を迎えるにあたって改めて違憲であることを確認する会長声明|東京弁護士会

 


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