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水素が地球温暖化を加速する可能性 – NPO法人 国際環境経済研究所|

2024-12-25 12:04:26 | 未分類

水素が地球温暖化を加速する可能性 – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

 

 大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハロカーボン類などの気体は、地表から赤外線の形で宇宙に逃げていくエネルギーを吸収して大気を暖め、 地球の平均気温を上げる働きをする。このような働きは「温室効果」と呼ばれ、この効果をもつ気体が「温室効果ガス」である。温室効果を持つガスは数十種類あり、中には非常に高い温室効果を持つものもあるが、排出量が絶対的に多いことから温暖化効果を高くしているのは、炭酸ガス、メタン、一酸化二窒素(N2O)であり、その影響の度合が下の図で示されている。


 

排出された温室効果ガスによる地球温暖化への寄与
2011年の放射強制力の推定値をもとに寄与の割合を計算(IPCC, 2013)

 この中に水素は含まれていない。水素は燃焼しても炭酸ガスを出さないことから、大量に燃料として使われて温室効果ガスである炭酸ガスを排出している石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に代わる燃料として、水素の利用が促進されようとしている。現在、水素は主として化石燃料を分解して作られているが、今後は水を電気分解することで製造する量が増えるだろう。その電気分解の工程に必要な電力を、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーにより発電されたものを使えば、製造から消費までまったく炭酸ガスを排出しない、いわゆるグリーンな燃料となる。

 水素社会の実現が言われるように、今後水素の消費量は急速に拡大するだろう。現時点でも、燃料電池自動車や燃料電池列車が普及しようとしているし、水素を燃料とした火力発電も計画され、液化水素の輸送船も日本で建設されようとしている。これまで水素の利用は工業部門が中心で、面的な拡がりがなかったが、水素の利用分野が拡大すると、水素の流通網も広域になっていく。そうなると、元素中で分子がもっとも小さい水素が漏洩する量が増大する可能性も大きくなる。

 水素自体は温暖化の原因にはならないが、それが漏洩して空気中に拡散すると、大気中のメタン、オゾン、水蒸気など様々の物質と化合し、その時に出る反応熱が大気を加熱し地球を温暖化させることになる。英国政府が最近出したレポートによれば、これから20数年で見ると、水素由来の温暖化効果は炭酸ガスのそれを33倍前後上回るが、長期的には炭酸ガスによる温暖化の効果の方が大きくなるとしている。水素利用が普及すれば、今後数十年の内に温暖化が急激に進む可能性があるということだ。具体的な事例でいえば、現在天然ガスの輸送に利用されているパイプラインを水素の輸送に使うとすれば、水素の漏洩は許容できる範囲を越えるものになるという。

 環境問題を研究する学者の表現では、水素の漏洩に起因する温暖化は、一般社会が想定する規模を大きく超えるものになるため、水素の利用を止めろとまでは言えないが、利用の当初から漏洩を極力少なくするようなシステムにする必要がある、ということだ。アメリカのバイデン大統領は、水素の製造・利用拠点を少なくとも4カ所具体化するのに80億ドルの予算を付け、12を超える州がそれに対応しようとしている。また、これまで天然ガスを供給してきたガス事業者も、水素の利用拡大に向けて、この2年間で30件近い実証拠点を設置している。漏洩対応はしているのだろうか。
 
 水素社会の負の側面も知る必要があるようだ。

 

本文.indd水素エネルギーと地球温暖化対策

 

脱炭素社会実現の鍵となる「水素」の可能性|ビジネスコラム | NTTファシリティーズ

 

 今夏の猛暑や豪雨被害の多発に見るまでもなく、近年日本では異常気象の発生が顕著になっています。これらは地球温暖化による影響とされ、世界に目を向けても、熱波や干ばつ、最近ではアフリカ北部にあるリビアのような降水量が極端に少ない砂漠地帯でも、豪雨をもたらすなど様々な気候変動が起きています。

 地球温暖化を止めるためには、二酸化炭素(CO₂)など温室効果ガスの排出を削減することが急務です。そのためには、化石由来のエネルギー利用を削減し、太陽光や風力などの再生可能なエネルギーへのシフトに加え、元来CO₂を排出しないエネルギーを活用する社会の構築が求められています。その社会を実現可能とする鍵が「水素」だと言われています。

 日本政府は2017年、世界に先駆けて「水素基本戦略」を打ち出し、将来的なエネルギー政策の骨幹に、S「Safety(安全性)」+3E「Energy Security(エネルギー安全保障)」「Economic Efficiency(経済効率性)」「Environment(環境適合)」を据えています。エネルギー源の多くを輸入に頼る日本にとって、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの利用と、水素をエネルギーインフラに導入することは重要となります。水素は様々な資源から生成可能なため、日本国内での製造が進めばエネルギー供給におけるリスク削減の効果が期待できると考えられています。

 また、水素の利用は2050年カーボンニュートラル実現にも大きく貢献することになります。そのため日本政府は、今年(2023年)の6月に新たな「水素基本戦略」を発表しました。従来の「水素基本戦略」では、水素導入目標として2030年に年300万t、2050年に年2,000万tを掲げてきましたが、今回発表した「水素基本戦略」では、中間となる2040年に1,200万tの導入目標を追加し、水素の導入拡大とともに関連産業の発展・育成も掲げています。

 水素は、社会でエネルギー源として利用する場合「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の3つに分類されます。グレー水素は、石油、天然ガスあるいは石炭といった化石資源を燃焼させてガスにし、そのガスから取り出した水素のことを言います。しかし元の資源に炭素が含まれていることから、取り出す過程でCO₂が発生し、そのまま大気に放出されてしまうため環境負荷が大きいとされています。また、ブルー水素は、グレー水素製造時に排出されるCO₂を回収し、貯蔵や別の用途として利用することで、結果的にCO₂排出量を抑えて製造された水素のことを言います。最後に、グリーン水素は、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーで作られた電気を使って水を電気分解する「電解」で製造された水素で、製造過程でCO₂を排出しません。カーボンニュートラル実現にはブルー水素やグリーン水素が望ましいとされています。

 


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