背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

クリスマスプレゼントを贈る前に

2024年12月22日 03時50分41秒 | CJ二次創作
   アルフィンと喧嘩した。
 いつもの、些細なことが原因だが、わりと長引いた。どっちも意地になってしまったのだ。気まずいまま数日が経った。
「ただいまア」
 所用があり、ファイターで出かけたジョウがミネルバに帰着した。いつもならアルフィンが格納庫まで駆けつけて出迎えにくるが、今日は姿が見えない。
「……」
 ジョウはファイターから降り、格納庫の人けのない様子を見まわした。
 まぁしょうがないかと思う。晩御飯もいらないと伝えてあったし。実際、遅くなったし。
 ハッチを閉めて、通路に出る。歩きながら、アルフィンの顔が見たいなと思った。私室に寄ろうかと一瞬思う。でもーー、会ってまた口論になるのは藪蛇だし、眠ってたら悪いし。
 思い直してリビングに向かう。正確にはキッチンに続く部屋にだが。空腹ではないが、水が飲みたかった。
 部屋の自動ドアが左右に割れて、ジョウがリビングに足を踏み入れるなり、
「メ、メリークリスマス、」
 パァン!と破裂音がした。ジョウは思わず身構える。
 彼の目の前にはクリスマスコスプレをしたアルフィンがいたのだ。
 手にはクラッカー。どうやら今の大きな音はそれを鳴らしたものだったらしい。
「アルフィンーー、どうして」
 目を丸くしたまま、ジョウが声を絞り出す。度肝を抜かれたせいで、うまくしゃべれない。
 アルフィンはミニスカート仕様のサンタの衣装と赤い帽子を被っていた。足はショートブーツで、白くてすんなりした脚線美が覗いていてセクシーだ。
 彼女は言いづらそうにもじもじしながら切り出した。
「これは、そのお、クリスマスなのにあなた、仕事で遅いっていうから。せめて帰ってきた時ぐらいはそういうムードでお迎えしようって思って。ーーその、ごめんなさい!ずっと拗ねて怒ったふりしてて。ほんとは早く謝って仲直りしたかったの、ごめん、ジョウ」
 言って、深く頭を下げる。
 ジョウはしばしあっけに取られ、それからふっと肩から力を抜いた。知らず、笑顔になる。
 そして、身体をくの字に折ったままの彼女に言った。
「頭を上げてくれ、アルフィン。俺こそごめん。意地になってた。拗らせたな、すまん」
 アルフィンはそろそろと顔を上げた。窺うように彼を掬い見る。
「もう交換手の女の子とイチャイチャ長話しないでね。悲しくなっちゃうから」
「そんなつもりは無かったけど、アルフィンを不快にさせたらごめん。気をつけるよ」
「交換手と交信するのは15秒までね」
「15秒ーー、み、短いな」
「約束ね?」
「ん。うん」
 ふふ。目を見交わして笑う。仲直り完了だ。
 ジョウは手を伸ばし、いきなりアルフィンを姫抱きにした。よいしょ、と軽々と。
「きゃっ」
 とっさに彼の肩にしがみつき、「ジョウ、なあに急に」と声を上げた。
 ジョウはアルフィンを抱えたまま、
「あんまし可愛いサンタが来たから、舞い上がってんだ。許せ」
 君の笑顔を見るのも数日ぶりだしな、と付け加える。
「……ケーキも七面鳥もあるわよ、キッチンに」
 ジョウの分、取ってあるのと耳元で囁く。でも、ジョウはんーと少し考えた振りをしただけで「こっちをさきにもらう」と返した。
「あまりの可愛さに目がくらんだ」
 リップサーヴィスとも思えぬ真面目な口調。
 そして、今来た道を引き返し、通路を通って私室に向かう。
「えーー、そ、そお、かな」
 アルフィンが身に付けている衣装と同じくらい赤くなる。意を決してサンタコス、してよかったあと夢にも昇る心地だ。胸がいっぱいで、うなじまで朱に染めて彼の肩に額を押し当てる。
「……クリスマスプレゼントをまず君から欲しい。いいよな」
 ジョウは俯いた彼女に確認を取る。アルフィンはかすかに頷いた。
「じゃあ俺の部屋へいこう」
 歩き出す。ジョウは今夜買ってきたアルフィンへのプレゼントは、部屋でたっぷり愛し合った後に渡そうと心の中で呟いた。

END
お持ち帰りされた後のつづきの話は、pixivさんででも…

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