今日はこの御話から始めましょう。
仏典童話 「いのししのみやげ」
山があった。谷があった。小川がちろちろと流れていた。岸には、かやの葉っぱが、
しげっていた。 その葉っぱを、ふみあらして、猪の子どもたちが、走りまわっていた。 すると、そのうちの一匹が、深い穴の中に落ちてしまった。
「助けてくれ。」と、泣きわめくばかりだが、どうしていいかわからない。
そこへ、ちょうど、ふもとの村の 大工の爺さんが、通りかかり、「よしよし、すぐ、引き上げてやるからな。」と言って綱をたらし、引き上げてくれた。
助かった。 お礼を言うと、大工の爺さんは、にこにこ笑って、「これからは、よくきをつけるんだよ。」といった。
ほかの人なら殺されて食べられてしまうところである。
猪の子どもは、おもわずこの爺さんの家までついて行った。
爺さんと、二人っきりの 暮らしは、楽しかった。爺さんは、まるで自分の子どものように、かわいがってくれた。猪が何をやっても、爺さんは、ほくほく喜んで、「ありがとうよ。」とお礼をいった。
その顔が、好きで、好きで、たまらない。 「爺さんが、村の皆から、大事にされるのは、どんなことでも、必ずありがとうと、お礼を 言うからにちがいない。」 それに、村の橋が壊れたり村の道が崩れたりしたときもすぐに直してあげるやさしさがあるからだ。
猪はその心が嬉しくてたまらない。
何年か、たったある晩のことである。爺さんは、しんみりと、言った。
「おまえは 猪なので、いつまでも、村へ置いておけないのじゃ。明日の朝山へ帰るがよい。」 あくる朝はやく、爺さんは、村はずれまで、見送ってくれた。
「では、ここでわかれる。達者でくらせよ。」
猪は、泣きながら分かれた。山は、前と少しも かわっていなかった。
「なつかしいな。そうだ、あの穴が、まだあるかな。」
猪は葉っぱのかげを、さがしてみた。 すぐ、みつかった。 昔のままだ。
「これは あぶない」 猪は、子どもたちが、どんなにあばれてもいいように穴を石で埋めてしまった。
猪は、ほんのちょっぴり、爺さんのまねができたことが、嬉しくてたまらなかった。
皆のためになることを、こっそりやる。やったことを自慢しない。
そんなすがすがしい 爺さんの心を、皆に伝えて行くのだ。
そして もう一つ。 どんなことでも、ほくほく喜んで、有り難うよと、お礼を言うことだ。そう言えたら、争いなど、起こるはずはない。
「これがやまの皆への、いちばんのみやげだ。」
あたらしい望みに、猪の胸は、はちきれそうにふくらんでいた。
「爺さん、見ていてください。僕はきっとやってみせる」
(ジャータカ)
-----------------------
私はこの御話を聞くといつもいつもぼろぼろと涙が流れていくんです。
悲しいんじゃない。うれしいのです。
こんなに素直で純粋で計算もなく、ただひとりの恩を受けた爺さんのためにできる
ほんとうにしあわせな、いのししです。
よりたくさんの人にこのブログをみてもらいたいです。
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それがしは誠にそなたの温情に感謝する。
かたじけない。
仏典童話 「いのししのみやげ」
山があった。谷があった。小川がちろちろと流れていた。岸には、かやの葉っぱが、
しげっていた。 その葉っぱを、ふみあらして、猪の子どもたちが、走りまわっていた。 すると、そのうちの一匹が、深い穴の中に落ちてしまった。
「助けてくれ。」と、泣きわめくばかりだが、どうしていいかわからない。
そこへ、ちょうど、ふもとの村の 大工の爺さんが、通りかかり、「よしよし、すぐ、引き上げてやるからな。」と言って綱をたらし、引き上げてくれた。
助かった。 お礼を言うと、大工の爺さんは、にこにこ笑って、「これからは、よくきをつけるんだよ。」といった。
ほかの人なら殺されて食べられてしまうところである。
猪の子どもは、おもわずこの爺さんの家までついて行った。
爺さんと、二人っきりの 暮らしは、楽しかった。爺さんは、まるで自分の子どものように、かわいがってくれた。猪が何をやっても、爺さんは、ほくほく喜んで、「ありがとうよ。」とお礼をいった。
その顔が、好きで、好きで、たまらない。 「爺さんが、村の皆から、大事にされるのは、どんなことでも、必ずありがとうと、お礼を 言うからにちがいない。」 それに、村の橋が壊れたり村の道が崩れたりしたときもすぐに直してあげるやさしさがあるからだ。
猪はその心が嬉しくてたまらない。
何年か、たったある晩のことである。爺さんは、しんみりと、言った。
「おまえは 猪なので、いつまでも、村へ置いておけないのじゃ。明日の朝山へ帰るがよい。」 あくる朝はやく、爺さんは、村はずれまで、見送ってくれた。
「では、ここでわかれる。達者でくらせよ。」
猪は、泣きながら分かれた。山は、前と少しも かわっていなかった。
「なつかしいな。そうだ、あの穴が、まだあるかな。」
猪は葉っぱのかげを、さがしてみた。 すぐ、みつかった。 昔のままだ。
「これは あぶない」 猪は、子どもたちが、どんなにあばれてもいいように穴を石で埋めてしまった。
猪は、ほんのちょっぴり、爺さんのまねができたことが、嬉しくてたまらなかった。
皆のためになることを、こっそりやる。やったことを自慢しない。
そんなすがすがしい 爺さんの心を、皆に伝えて行くのだ。
そして もう一つ。 どんなことでも、ほくほく喜んで、有り難うよと、お礼を言うことだ。そう言えたら、争いなど、起こるはずはない。
「これがやまの皆への、いちばんのみやげだ。」
あたらしい望みに、猪の胸は、はちきれそうにふくらんでいた。
「爺さん、見ていてください。僕はきっとやってみせる」
(ジャータカ)
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悲しいんじゃない。うれしいのです。
こんなに素直で純粋で計算もなく、ただひとりの恩を受けた爺さんのためにできる
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