はなし 三好郡辻町 山下竹翁(82) のおはなし
日本の民話
むかし、むかし、裏山に、いたずら好きのこんこん狐がおりました。
いつも峠を通る人をたぶらかしてはよろこんでおりました。
村の頓智(とんち)息子が、隣の村から日暮れに帰ってきておりますと、こんこん狐が出てきて、
「お前はりこうで頓智もんというが、ほんなら一つわしと化け比べしてみんか」
と言いました。
息子も、「ほう、ほら面白いこっちゃ」と言って、試合することにしました。
狐は、そんなら化けるぞと言って、ごついごとまっつぁん(がま)に化けました。
息子は、「なんじゃほんなもん、ちっともおとろしゅうないわ(恐ろしく)、もっとごついもんに化けてみい」と言いました。
すると、今度は大蛇に化けました。
息子が、「なんじゃほんなもん、今度はもっとちがうもんに化けてみい」
と言いますと、鶯(うぐいす)に化けて、「ほうほけきょ」と鳴きました。
それからとんびや床屋、オカマにばけたりしました。
すると息子が、「うん大分うまんなったようじゃが(上手)、ほんならお前、まんじゅうに化けられるか?もみじまんじゅうでもええで」と聞きました。((o( ̄ー ̄)o)) ワクワク
狐は、「ほんなこと朝飯前じゃ、こら」と言って、とくべつおいしそうなまんじゅうに化けました。
サイズは少し大きめです。
「うんめぇー、元気がでらあ~」
息子はそのまんじゅうを、手の平でくるくるまわして口ん中へさっとほおりこみ、ぺろりぺろりんちょと食べてしまいました。
おしまい。
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