日本の昔話 365のみじかいお話
「やまんばの宝みの」
むかしむかし、ある山奥の村に美しい娘がいました。
ある春の日、娘は友だちと山に遊びにいきました。
ところが、1人はぐれてしまい、山の中で迷子になってしまったのです。
だんだん日が暮れて、泣き出しそうになったとき、そまつな一軒家が見えました。
娘がその家の戸を開けると、1人のおばあさんがいろりにあたっていました。
「一晩泊めてくださいな(*^・ェ・)ノ コンチャ♪」
と娘がお願いすると、おばあさんは、
「わしは人を食うやまんばじゃ。食べられとうなかったら、よそへいけ!」
といいます。
娘はびっくりしましたが、「外に出ると、クマやオオカミに食べられてしまいます。それなら、ここで食われた方がましですわ」
と答えました。
あわれに思ったやまんばは、娘に一枚のみのをさし出しました。
「これを使うがええ。この宝みのをかぶってお経を唱えると、自分の思い通りの姿に変身できるんじゃ」
娘はみのをまとい、さっそくヨボヨボのおばあさんに変身しました。そして山道を歩きはじめました。
山の中にいるのは、クマやオオカミだけではありません。山賊やおそろしい鬼まですんでいました。
「おい、人間じゃ。とって食うか」
「よせよせ、あんなばばあじゃまずかろうて」
おばあさんに変身した娘は、鬼の横を通りすぎ、ずんずん進んでいきました。そうして夜明け前、やっと人のすむ村に出ました。
娘はある長者の家の戸をたたき、
「どうか、ここで働かせてください」
とたのみました。
親切な長者は娘をまあねき入れ、はなれの長屋にすまわせました。
娘は、昼間はおばあさんの姿のまま、はたを織り、夜になると美しい娘の姿に戻って、読み書きの勉強をしました。
ある夜、長者の息子が長屋に目を向けると、窓から光りがこぼれています。
近づくと、勉強をする美しい娘の姿が見えました。
息子はすっかりこの娘を好きになり、結婚したいと思いました。ところが次の日、どこにもそんな娘は見つかりません。
ふしぎに思った息子は家来に調べさせ、娘がおばあさんに化けていることを知りました。そして、おばあさんの姿の娘をつかまえ、
「おまえは化け物だな[様子見]ョ゜ω゜;)」
と問いつめたのです。娘はあきらめてやまんばから宝みのをもらったことを話しました。
そして宝みのを脱いで、美しい娘の姿に戻ったのです。
「わたしをふるさとの村に帰してください( p_q)エ-ン」
長者の息子は娘の村を探し出し、家に帰してあげました。
もう娘は死んだと思っていた村の人々は大よろこびです。そして二人は結婚し、いつまでもしあわあせに暮らしましたとさ。
おしまい