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私という世界でたった一つの物語

五つぶのエンドウマメ

2011-07-27 | 写・画・絵・詩・物語

アンデルセン童話
365のみじかいお話




緑のさやの中に五つぶのエンドウマメがいました。

豆たちはさやの中で話をします。

「ぼくたちは、ずっとここにいるのかな」

「外の世界は広いらしいよ」

何週間かして黄色くなったさやを、人間がちぎって、ポケットに入れ始めました。

「いよいよ外にとび出すんだな」

ある豆がさやの中でいいました。みんな外の世界が気になってしょうがありません。ある日、とうとうさやが割れて、豆たちは外にとび出しました。豆たちをしっかりつかんだのは男の子の手でした。

「これは、豆鉄砲にもってこいだぞ」

さっそく男の子は一つぶ目を打ち出します。

「つかまえられるなら、つかまえてみな」

最初の豆はそういってとんでいきました。

「ぼくは、太陽までとんでいくんだ。それが、ぼくにはおにあいだもの」

二つぶ目はそういって打ち出されました。

そして、さやの中でまだ眠そうにしていた二つぶの豆が、手から地面にころがり落ちようとしましたが、結局豆鉄砲で打ち出されました。

そして、最後に残った豆は、打ち出されるときこうつぶやきました。

「まぁなるようになるさ」

そして、やっぱりとんでいきました。

さて、豆たちは、どこにいったのでしょう。一つぶ目の豆は、屋根のといに落ちて、ハトのエサになりました。ねむそうにしていた二つぶの豆も、ハトにたべられてしまいました。

太陽までとんでいくつもりだった二つぶ目の豆は、どぶの中に落ちてしまいました。そういえば、最後に残った豆はどうなったのでしょう。

次の年の春のことです。屋根裏部屋にすんでいる病気の女の子が、ベッドから窓の外を見ていました。

「お母さん、窓から緑のものが見えるわ」

「あら、豆じゃないの。それにしても、どうやってあんなすきまに生えたのかしら」

最後の豆は、屋根裏部屋の窓の下にある、板の割れ目に入り込んでいたのです。そこでチリやコケに根を張って、スクスクと大きく育ったのでした。その晩、女の子はいいました。

「お母さん、わたし、きっと元気になるわ」

「神さまが、あなたを元気づけるために、あの豆を植えてくださったのね」

お母さんはうれしそうに答えました。

やがて、病気の女の子はすっかり元気になりました。窓の下では今日もきれいに豆の花が咲いています。女の子は手をあわせて、神さまに感謝するのでした。


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