みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0207「お好み焼き」

2018-04-25 19:01:06 | ブログ短編

「まだ食べるの?」お好み焼きを前にして好美(よしみ)が訊(き)いた。「ちょっと食べすぎじゃない」
「なに言ってるのよ。ここのは最高(さいこう)の味(あじ)なのよ。せっかく来たんだから食べなきゃ」
 恵子(けいこ)は大きな口を開けて、ガブリと頬張(ほおば)った。
「好美、無理(むり)だってば。この子にそんなこと言っても」写真(しゃしん)を撮(と)りながら、冷静(れいせい)な口調(くちょう)であかりが言った。「食欲(しょくよく)は生きるための基本(きほん)よ」
「そうそう。好美、食べないんだったら食べてあげようか?」
「ダメ、これはあたしのだから。もう、恵子もさ、ダイエットしようとか思わないわけ」
「まったく。だって、何で我慢(がまん)しなきゃいけないの。意味(いみ)分かんない」
 あかりはくすりと笑い、「男子より、お好み焼きのほうが大事(だいじ)なのね」
「そうじゃないけど」恵子は食べる手をとめて、「やっぱ、これが私だし。無理して男子と付き合っても、疲(つか)れるだけじゃない。このまんまの私を好きになってくれなきゃ」
「でも、見た目も大切(たいせつ)よ」好美は口をとがらせて言った。「太(ふと)ったら誰(だれ)も振り向かない」
「私が集めた情報(じょうほう)では…」あかりはスマホを確認(かくにん)しながら言った。「我(わ)が校(こう)の傾向(けいこう)からいくと、標準的(ひょうじゅんてき)な体型(たいけい)が一番もててるわね」
「あたしたちって、標準よね」恵子はにっこり笑い、最後の一切れを口にした。
 好美もあかりもうなずいて、美味しそうにハフハフと口を動かした。
<つぶやき>美味しいものは、とりあえず食べておきましょう。もったいないですから。
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