とある町の郊外(こうがい)に隕石(いんせき)が落下(らっか)した。幸(さいわ)いなことに、落ちた場所(ばしょ)は空(あ)き地だったので被害(ひがい)は出なかったようだ。専門家(せんもんか)たちが空き地にできた小さなクレーターを調(しら)べに来たが、隕石の破片(はへん)すら見つけることができなかった。
それから数日後、この町で奇妙(きみょう)なことが起(お)き始めた。死(し)んだはずの人が生き返(かえ)って戻(もど)って来たのだ。町の人たちは、誰(だれ)もが動揺(どうよう)を隠(かく)せなかった。ある人は喜(よろこ)び、ある人は恐怖(きょうふ)に怯(おび)えた。これは神(かみ)の起こした奇跡(きせき)なのか、それとも――。
彼のもとにも亡(な)くなった妻(つま)が戻って来た。彼は、妻の姿(すがた)を見つけると涙(なみだ)をこぼし彼女を抱(だ)きしめた。妻は、彼の背中(せなか)を優(やさ)しくさすりながら言った。
「もう泣かないで…。あたし、戻って来たんだから。もうどこにも行かないよ」
彼は妻の顔(かお)を見つめて、「ごめん。――まさか、こんな日が来るなんて……」
彼は妻と一緒(いっしょ)に家に戻ると、家の中に入るのをためらった。妻が亡くなってから、家の中はめちゃくちゃになっている。妻はきれい好きだったので、とても見せられない。でも、妻は家の中に入ってもまったく気にしなかった。妻は言った。
「あたし、お願(ねが)いがあるんだけど…。あたしの味方(みかた)になってくれない?」
彼は、妻が何を言っているのか理解(りかい)できなかった。妻はさらに言った。
「だから、あたしと一緒にこの星(ほし)を征服(せいふく)しましょ。あたし、この星が欲(ほ)しいの!」
<つぶやき>これは異星人(いせいじん)の侵略(しんりゃく)なのか…。このままでは、簡単(かんたん)に征服されちゃうかも…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます