みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1487「発掘競争」

2025-02-14 16:36:17 | ブログ短編

「爆破(ばくは)するって…」助手(じょしゅ)の安井(やすい)が目を丸(まる)くして言った。「教授(きょうじゅ)、なにバカなことを言ってるんですか。あの辺(あた)りには、新種(しんしゅ)の化石(かせき)が埋(う)まってるかもしれないんですよ。そんなことをしたら…、粉々(こなごな)になってしまいます」
「かまわんさ。あいつに発見(はっけん)されるよりはましだ。あの辺りは、わしが発掘(はっくつ)するはずだったんだ。それを横取(よこど)りしやがって…。あいつに功績(こうせき)をわたしてたまるか…。許(ゆる)せんのだ!」
「教授、落(お)ち着(つ)いてください。また次(つぎ)のチャンスがありますよ」
 教授は安井の肩(かた)を強(つよ)くつかんで、「わしには時間(じかん)がないんだ。この身体(からだ)が……。すぐに爆薬(ばくやく)を用意(ようい)するんだ。すべてをぶち壊(こわ)して、あいつを落胆(らくたん)させてやるんだ。そして、二度とわしの邪魔(じゃま)ができんようにしてやる。そうでもしないと、わしの気(き)がおさまらない」
「教授、そんなことダメです。考(かんが)え直(なお)してください。そうだ。実(じつ)は、この場所(ばしょ)から少し北(きた)へ行ったところで見つけたんです。有望(ゆうぼう)な地層(ちそう)が露出(ろしゅつ)しているところを…。きっと新種が見つかるはずです」
「それは…ほんとうか? 間違(まちが)いないんだな」
 教授は立ち上がると、「何をしている。すぐに向(む)かうぞ。あいつより先(さき)に行かないと…。今度(こんど)こそ、わしが…。わしが、新種を発見するんだ」
「はい、教授。あいつの鼻(はな)を明(あ)かしてやりましょう」
<つぶやき>こんなことがあったとか、なかったとか…。人間(にんげん)はいろいろ欲(ほ)しがるよね。
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