南英世の 「くろねこ日記」

教師冥利に尽きる話

私の教え子の中から何人もの政治家が出ている。その中で渕上猛君という堺市議がいる。彼がNHKの朝ドラ「虎と翼」に関連して次のような話をフェイスブックに投稿していた。嬉しかったので引用させていただく。

NHKの朝の連ドラ「虎に翼」がいよいよ明日、最終回。
最終盤の今週のテーマが「尊属殺」でした。
「尊属殺」は、私にとっても印象深いテーマ。
 
高校生の政治経済の授業でのこと、
実の父親に14歳の時から強姦され続け、5人もの子どもを産まされた女性。そんな彼女に恋人ができ、「結婚したい」と父親に告げると、父親は逆上して監禁、罵倒、暴行。彼女はその父親を錯乱状態の中、絞殺してしまう。
実の父親を殺害する尊属殺は、無期懲役もしくは死刑。情状酌量で減刑しても執行猶予はつけられず、必ず実刑判決となる。
君たち(生徒)は彼女が刑務所に入ることをどう思う?
君たちが彼女の弁護士となるなら、どうやって彼女を助ける?
これが、当時の政治経済の先生からの問いでした。
 
あれやこれやとクラスメイトと議論し、私も手を挙げてなんやかんやと思いつきのような意見を言ったような記憶があります。
尊属殺の規定そのものが、憲法14条「法の下の平等」に反すると訴える、というのが実際の話であり、「虎に翼」でも取り上げられていたもの。
いやはや、いま思い返しても、高校生相手にすごい授業をする先生やったなぁと思います。
私が政治家になるにあたり、少なからぬ影響を与えてくれた恩師です。
(引用終わり)
 
 
 
高校生を相手にこの忌まわしい事件を取り上げることには抵抗もあったが、卒業後30年近くもたってまだこの授業を覚えてくれていることに感謝感謝である。教科書も資料集も閉じさせて、自分たちで考える時間をたっぷりとった。事件の概要を説明していた時、あまりの衝撃でクラス中がシーンとしてしまったことが印象に残っている。
 
『尊属殺人罪が消えた日』谷口優子 筑摩書房 1987年11月6日 初版発行
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