南英世の 「くろねこ日記」

湯の山温泉 囲碁合宿の旅

2023年6月24日~26日、2泊3日の囲碁合宿が三重県の湯の山温泉で行われた。元来人見知りする性格の私は、この種のイベントには参加したことがない。しかし、知り合いの方の強い勧めもあって、勇気を出して参加してみた。参加者は約100名。昼はプロの先生の指導碁を受け、夜は飲み放題の懇親会やプロ棋士による公開早碁などが行われた。

プロ棋士はテレビでよく見かける有名な棋士を中心に13名が参加。なかにはNHKの囲碁講座に出演している安田明夏初段もいた。生で見る安田初段はテレビで見るよりずっと美しくかわいかった。

安田明夏初段

 

期間中、伊田篤史王冠、羽根直樹9段、山田規三生9段、羽根彩夏2段、安田明夏初段の指導を受けた。手合い割はアマ6段で4子、7段で3子、アマトップクラスで2子が相場である。私は4子でご指導いただいた。ちなみにプロの卵である院生は10級の人で師範に3子と聞いた。

伊田篤史王冠

羽根直樹9段

局後の指導の仕方は人によっていろいろである。一番良かったのは羽根直樹先生である。我々アマチュアに対する愛情が伝わってくる。敗けた碁でも必ずいい点を見つけてほめてくれる。これがどれほどうれしいか。私自身長年教員をやってきたが、羽根先生は碁が強いだけではなく(これまでに取ったタイトル数26)、教師の鑑でもある。局後の検討で4つほどご指摘いただいた。目からうろこだった。

翌日、羽根先生や伊田先生に教えていただいた手をさっそく羽根彩夏先生(直樹先生の次女)にぶつけてみた。そうしたら結構いい感じで打てた。結果は3目敗けだったが、前日の指導のおかげで少し強くなれた気がした。大きな収穫だった。

羽根彩夏2段

自分が打っていない間は、ずっと彩夏先生の指導碁を見学させていただいた。決して無理な手は打たない。捨てた石を最大限に活用し、自然な流れでじわじわっと追いついていく。4人を相手にほとんどノータイムで打っているにもかかわらず、打った手はすべて覚えていて局後に丁寧に解説してくれる。アマチュアを大切にするところはお父さん譲りか。

彩夏先生の変幻自在な打ち方の美しさに「なるほど、碁とはこういうふうに打つものか」とすごく感動した。頭の固い私に一番欠けているのはこうした変幻自在な変化であることを初めて知った。

 

ここで、羽根直樹先生の印象に残った言葉を記しておく。

① こっちで得をしたのだから、あっちは相手に差し上げましょう。

② まず部分を正しく打てるようにしましょう(石の強弱、定石の意味)。

③ 自然な流れで打ちましょう。

④ このくらいの感じで打っていけばヨセで追いつけるかなーと思いながら指導碁を打っている。時々ヨセがうまいアマチュアの人がいて追いつけないことがある。

⑤ 勝った碁よりも敗けた碁によって強くなる。

とくに、最後の言葉は心に突き刺さった。

 

 

夜は飲み放題の懇親会である。ビール、ワイン、日本酒(越乃寒梅などの高級酒)などが準備されていた。

山田規三生先生を囲んで未来塾のメンバーが集合

 

指導碁のほかに、アマチュア参加者による湯の山本因坊戦や段級位戦(ハンディあり)も行われた。私は本因坊戦に参加したが1回戦で敗けた。相手の緩着に乗じてあと一歩で大石を仕留めるところまで追い詰めたのだが、残念ながら返り討ちにあってしまった。まあ、これが今の実力だろう。優勝したのはかつて三重県代表にもなった強豪であった。

 

囲碁合宿から帰ると、先日メルカリで購入した依田紀基先生の扇子が届いていた。人との出会い、一手との出会い。すべて「一期一会」と言えるかもしれない。リタイアー後に、こんな素晴らしい人生の第2章が待ち受けているとは思いもよらなかった。健康であることに感謝する日々である。

 

 

 

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