この前の「公民」の授業で勢力均衡政策の話をした。その例として英・仏・露による三国協商と、独‣墺・伊による三国同盟の話をした。しかし、あとではっと気が付いた。生徒は「オーストリア」と聞いてどんな国をイメージするのだろう?
生徒がイメージするのは現在のオーストリアではないか。いや、まだ世界史を勉強していない彼らにとって、それ以外のオーストリアを想像できるはずがない。
あっちゃー、大失敗である。下のような図を示して説明するべきだった。
サラエボ事件については生徒は全員知っている。しかし、「オーストリアの皇太子夫妻がセルビアの青年によって暗殺された」ことの意味を正しく理解するには、かつてのオーストリア・ハンガリー帝国、したがってハプスブルク家の威光をきちんと理解しておく必要がある。
仮にテストで「三国同盟=独・墺・伊」と正しく答えられたとしても、現在のオーストリアをイメージしていたのでは勢力均衡政策を正しく理解していたことにはなるまい。
世界史を学んでいない生徒に国際政治を教える難しさを感じた。せめて教科書に上のような地図が1枚載っていれば・・・。いや、そもそも文科省の指導方針の根本がチグハグというべきかもしれない。