昨日、赤信号の先頭で停車中、夫が突然叫びました。
「 カウンタックだッ!」
「 えッ!何処?何処ッ!」
「 後ろに並んでる!」
カウンタック…それは、子供時代にスーパーカーブームを迎えた夫と私にとっては、特別な車…。
車を越えた車、スーパーカーの中のスーパーカー…とにかく、別格の車なのです。
私は 急いでカメラを取り出しながら振り向きました。
4台ほど後ろに、赤く平べったい車体の半分が見えています。
「 うわぁ~、カウンタックだッ!」
やっとカメラを掴んだ瞬間、信号が青に変わりました。
先頭ですから 走り出さなくてはなりません。
夫は私が撮影出来る様に ゆっくり左折してくれたのですけれども、カウンタックは他の車の陰に隠れてしまいました。
直進してゆくカウンタック…。
「 あぁ…。」
残念、撮影出来ませんでした。
ここは、お家からそう遠くない住宅街…いつも通る場所です。
いわば 私達のテリトリー(?)、夫には子供の頃から慣れ親しんだ地域です。
「 よし!」
抜け道を通り、先回りすることにしました。
カウンタックの進んだ道は、いつも混むのです。
もしかしたら、先の道で会えるかもしれません。
大きな交差点に差し掛かり、赤信号で停まりました。
「 多分ここに出てくるはず!」
「 どっちから?」
「 右。」
夫は右方向に意識を集中、私はカメラを構えます。
なかなか来ません。
「 もう、行っちゃったのかなぁ…。」
私がほんのちょっと諦め掛けたその時、
「 来たッ!」
微かに聞こえるエンジンの低い唸りと共に、赤い車体が…
パシャッ!
「 あぁ、ダメだ…。」
「 カッコイイ~!」
あっという間に遠ざかるカウンタック…。
「 もう追いつけないなぁ…。」
淋しそうな夫。
「 あぁ、上手く撮れなかった。」
「 カッコ良かったなぁ~♪」
その後立ち寄ったBookOffの駐車場に車を停めてからも、「 カウンタックが行った道は混んでたから、もしかしたらこれからこの道へ来るかも…。」 と、足がお店ではなく道路の方へ…。
「 じゃぁ、ちょっと待ってみようよ。」
私だってもう一度、どうしても正面から見たいのです…。
すでに日が沈み辺りが暗くなり、車はライトを点けていますので 近くに来るまで車種が判りません。
「 あれか?」「 違ったね…。」 「 あれかな?」「 違う…。」
私は幾度もカメラを構えては下ろし、構えては下ろし…。
「 まるで、アイドルの出待ちをするファンみたいだ。」
「 来日スターを空港で待ってるファンみたい。」
「 それか、鉄道ファン。」
「 電車待ちしてるみたい。」
「 てっちゃんじゃなくて…」
「 カッちゃん♪」
……何でしょう?それ…。
名残惜しく思いながら 諦めました。
カウンタック…。
車を越えた車、スーパーカーの中のスーパーカー。
そのカウンタックが走る姿をテリトリーで見られて、とっても嬉しかったです。
「 カッコ良かった…。」
「 あぁ、上手く撮れなかったよ。ほら見て。」
「 え?撮れたんだ?」
「 うん…これ…。」
「 わぁ!スクープ写真だッ!」
それが、こちら…。
ブレています。
“ カウンタック ”
この名前を聞くと、何故だかテンションが揚がります。
夫と私と同年代の方達の中には、そんな方も多いのではないでしょうか…?