会社から徒歩数分の宴会場に着くと少し早かったのか他の部の従業員はチラホラとしかいなかった。
しかし上座を見ると三波伸介似の二代目社長を始め、お偉いさんの方々は早くも勢揃いをし、上機嫌であった。
そして、二代目社長は私達の事を見つけると大きな声を張り上げて叫んだ。
『おぉ、来たか来たか、遅いよ、待ってた待ってた、こっちだよ、おいでおいで。』
満面の笑みで手招きをする彼は何とも言えずにチャーミングであり、我が社の従業員は、ついつい自分達は社長に気にかけてくれているという錯覚を持たせてくれた。
彼は、とてつもない人たらしの一面があったのだ。我々は指定されたテーブルに別れ着席をした。
ツネ師匠は社長の隣を座るように言われ、社長の隣に少し恐縮しながら座った。
そして時間と共に他の部署の方々もゾロゾロと、お見えになり、その度に社長は皆に声をかけた。
そして12時を少し回った頃、会は始まった。